ルネサンス
ルネサンスとは、14世紀から始まり16世紀にかけてイタリアのフィレンツェを中心に展開した、絵画、建築、彫刻などあらゆる芸術に影響を与えた運動です。
自然主義と古典(ギリシャなど)美術への回顧的思想から始まり、キリスト教から一旦離れて、様々な学問を通じて人類の理想的な形態を追求することを目的としました。
その後、ローマやヴェネツィアなど各都市で独自の特徴的な画派が成立し、以後国際的な様式に発展しました。
日本でいうと、鎌倉時代が終わり、室町時代が始まる頃の時代ですね。
この時代の有名な画家は、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ、ティツィアーノ、ブリューゲル、デューラーなどです。
とても有名な画家たちが勢揃いしていますが、この中でも、私はデューラーを特にこのページでご紹介したいと思います。
デューラーは、ドイツ、北方ルネサンスの画家で、「黒い線(版画)のアペレス(天才)」と呼ばれました。
デューラーの『メランコリアⅠ』という作品は、寓意的な画題がいくつも描かれており、様々な解釈があります。デューラーの作品には、数学を用いた作品がいくつか残っています(自画像など)。
次に、ルネサンス期の音楽についてご紹介します。
ルネサンス音楽は、フランスのブルゴーニュ地方の音楽家によって開拓され、フランドル地方で花開きました。
合唱音楽を中心に声楽が栄え、ミサ曲などの教会音楽やシャンソンなどの世俗曲が多く作られました。
ルネサンス音楽は、ヨーロッパの音楽史において、中世とバロックの間に位置する時代(15~16世紀)の音楽です。
具体的な様式的特徴としては、円滑で自然な旋律の流れ、豊かで響きの良い和声、均衡の取れた形式美、そして曲全体の構成にみられる安定感を挙げることが出来ます。
ルネサンス後期には印刷技術の革新と器楽の発展により、これまでとは違う発展を見せました。
印刷が簡単に行えるようになったことにより、楽譜が誰にでも手に入るようになりました。
これによりフランドル楽派(フランドル地域を中心に活躍した、ルネサンス音楽を代表する作曲家達)の音楽様式は音楽家のみならず庶民にも普及しました。
代表的な作曲家に、ギヨーム・デュファイ、ジョスカン・デ・プレ、オルランド・ディ・ラッソなどがいます。
マニエリスム
マニエリスムは、16世紀後半にイタリアで展開した様式です。
その頃の日本は、室町時代、安土桃山時代にあたります。
「マニエリスム」という言葉は、「洗練された手法(マニエラ)」に由来しています。
引き延ばされた人体比率で描かれる人物や、画家各々の個性を投影する独創的な展開などが特徴です。
この時代の代表的な画家は、ポントルモ、ロッソ・フィオレンティーノ、コレッジョ、アルチンボルド、エル・グレコなどがいます。
美術史の区分としては、盛期ルネサンスとバロックの合間にあたります。
マニエリスムの画家の中でも、エル・グレコをご紹介します。
エル・グレコは、ギリシャ(クレタ島)出身の、スペインで活躍した画家です。
ティツィアーノ、ティントレットなど、ヴェネツィア派の影響を受けました。
エル・グレコは、30代後半にスペインのトレドに移住し、トレドにあるサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ協会の祭壇画などを手掛けました。
銀色を帯びた色調と、引き伸ばされたように長い人物像を特徴としています。
彼は贅沢な暮らしをしており、ときには訴訟問題もありました。その生活は、画家としての地位を高めるためのパフォーマンスでもありました。
【エル・グレコの代表作】
『オルガス伯の埋葬』・・・サント・トメ教会にある宗教画です。葬儀の参列者の頭を境に上下2つの世界観が分かれているのが特徴で、エル・グレコの最高傑作と言われています。
『イエスの復活』・・・空中を歩くキリストは画面のこちら側に向け、自信と尊厳に満ちた表情を見せています。
『第五の封印』・・・トレドにあるタベラ施療院礼拝堂のために描かれた祭壇画です。新約聖書の最後に配されたヨハネの黙示録6章を題材としており、ヨハネと墓場から現れた殉教者の魂が天に向かって呼びかける様子が描かれています。
バロック
今日はバロック美術についてご紹介したいと思います。
バロック美術は、16世紀末から18世紀にかけて欧州全域に見られた様式です。
バロックは「ゆがんだ真珠」を意味しています。
日本でいえば、江戸時代前期ですね。
極端な明暗の対比や劇的な感情表現、激しい運動性などが特徴です。
さて、17世紀ですが、数学史および科学史では空前の爆発的発展が見られました。
イタリア人のガリレオ・ガリレイは、木星の衛星が軌道を描くことを観測しました。ドイツ人のケプラーは、惑星運動の数学的規則をケプラーの法則として定式化することに成功しました。
フランス人の数学者フェルマーとルネ・デカルトによって、解析幾何学が開発されました。
イングランドのニュートンは微分積分学の概念を寄せ集め、これとは独立に、ドイツではライプニッツが微分積分学を発明しました。
フェルマーとパスカルの交流により、応用数学が新たな領域に拡大を始めました。
バロック時代の画家に、カラヴァッジョ、カラッチ、ベラスケス、ルーベンス、レンブラント、フェルメールなどがいます。
バロックの画家もルネサンスと同様、有名な人ばかりですね。
私はこの中でも、ベラスケスとルーベンスについてご紹介したいと思います。
ベラスケスはスペインの画家で、バロックの天才と言われました。彼は24歳のときにフェリペ4世の宮廷画家になりました。そして29歳のときに、外交官としてスペインに訪れていたルーベンスと親しくなったそうです。
そのルーベンスですが、ドイツで生まれ、フランドルで活躍しました。17世紀で最も国際的な名声を得たと言われています。ルーベンスの代表的な絵として、『マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸』が挙げられます。
最後に、バロック音楽についてご紹介します。
この時代になると、ヴァイオリンやピアノなど、現在のクラシック音楽の中心を担う楽器が進歩し、器楽音楽が本格的に発展してきました。そして、オペラなどの歌劇が誕生していきました。
そんな中で生まれたのが、モンテヴェルティという作曲家による「オルフェーオ」という核心的なオペラでした。この曲では、様々な楽器が主旋律と伴奏に分かれて合奏を行い、現代のように「分業的」に音楽を初めて奏でました。
絶対君主制が確立していたこの時代の音楽家は、王族や貴族をスポンサーとする職業音楽家でした。ベラスケスもスペインの職業画家でしたね。
さて、その時代、作られる曲はスポンサー(王族・貴族)の意向を汲むことになり、豪華絢爛でゴテゴテした作風のものが多かったそうです。
また、低音声部が曲全体を支える「通奏低音」を基本としていることも、この時代の音楽の特徴です。
この時代の代表的な作曲家としては、モンテヴェルディ、ヴィヴァルディ、バッハ、ヘンデルなどがいます。
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