はいみなさんこんにちは。
キリスト教絵画は、神を讃えるだけでなく、キリストや聖人にまつわる出来事や事件を物語り、神の教えや知恵を解き明かす絵画でもありました。
識字率の極めて低かった中世において、キリスト教美術はいわば目で見る聖書でした。
今日は、後半についてお話していきたいと思います。
キリストの試練
洗礼を受けたイエスは荒れ野に粋、40日間の断食をしました。その折、イエスの前に悪魔が現れて、様々な誘惑をします。
しかしイエスはそれを退けました。ここでイエスは、自分が魂の指導者としてふさわしいことを示したと言えるでしょう。
ラザロの蘇生
福音書には死者を蘇生させるイエスの話がいくつかありますが、この話はその中でも最も有名な話で、しばしば画題としても取り上げられます。
「墓は洞穴で、石でふさがれていた。・・・イエスは『ラザロよ、出てきなさい』と大声で叫ばれた。すると、死んでいた人が、手と足を布で巻かれたまま出て来た。」「ヨハネによる福音書」
ペテロに天国の鍵を渡すキリスト
ペテロは、キリストの一番弟子になりました。キリストから天国の鍵を授けられたペテロは、カトリック教会の代表とされました。
ペテロは初代のローマ司教、つまり初代教皇となるのです。
良き羊飼い
羊は古代からヨーロッパ全域に渡って飼われ、したがって羊飼いも極めて馴染みが深いです。
良い羊飼いは、迷える羊(=キリスト教徒)を守ります。牧師(pastor)とは本来、羊飼いを指します。
最後の晩餐
エルサレムに入ったキリストは、ユダヤ民族がエジプトから逃れたことを記念する過越(すぎこし)の祭りの食事を弟子たちと共にしました。
このときキリストは「あなた方の一人が私を裏切ろうとしている」と告げます。「先生、まさか私のことではないでしょうね」と言うユダに対して、「それはあなたの言ったことだ」と答えます。
裏切りの予言で使途たちが動揺したのち、イエスはパンを取り、祝福して、皆に分け与え、「これは私の体だ」と言います。
さらに杯を取り、祈りを捧げて、皆に飲むように勧め、「これは私の血、契約の血」だと言います。
この言葉が、聖体の秘蹟(ひせき)、つまりカトリックのミサの起源とされます。
十字架を担うキリスト
ユダの裏切りで捕らえられたキリストは、裁判官であるピラトの前に引き出されます。
ユダヤ人の祭司長たちや下役たちはイエスを「十字架につけろ」と要求します。ピラトはイエスをユダヤ人に引き渡し、ユダヤ人は「この男は死罪に当たります。神の子と自称したからです」と、イエスを断罪したのです。
そして死罪の確定したイエスは、十字架を担がされるのです。
キリストの復活・昇天
キリストは受難を受けましたが、三日後に復活します。そして、40日間にわたって、弟子たちの前に現れ、自分が生きていることを証明しました。
弟子たちに話し終わると、キリストは天にあげられ、雲の中に消えていきます。
最後の審判
世の終わりには、キリストが再臨します。そのときは死者も蘇り、全人類は最後の審判を受けます。
義人(ぎじん)には永遠の命が与えられ、罪人には永遠の罰が与えられるのです。
いかがでしたでしょうか?
この知識を踏まえ、美術館に行くと、新しい理解が得られるでしょう。
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