能装束にはどんなものがあるの? ~日本文化紹介シリーズ~

はいみなさんこんにちは。

今日は、能装束についてお伝えしていこうと思います。

と、その前に、まずは能についての基礎知識を書いていきますね。

目次

能の基礎知識

能について書かれた、世阿弥著の『風姿花伝』から内容を抜粋します。

「座敷を見て吉凶をかねて知る」・・・座敷というのは見所(けんしょ)、見物席のことで、演能が成功するか否か(吉凶)は、その日の観客席を見て予測をつけるという意味です。

離見(りけん)・・・自分から離れた立場にたって客観的に見た自分の姿、または観客から見た自分の姿という意味です。

その際、自分の肉眼で自分の姿を見ることはできないので、心眼で見ることになります。

当初の能舞台は、現在と違って四方に観客がいました。よって能役者は複数の方向から視線を受けていることになります。

よって、その一本一本の気や呼吸を感じ取り、演技の中に取り込まなくてはいけません。

花を知る・・・「風姿花伝」で「花」は137回も出てきます。世阿弥がいかに「花」という言葉を重要に考えているかわかります。花は単に美しいだけのものではありません。

花は見る人の心に珍しく思えるものが花であり、珍しさを工夫して得るものが花なのです。

能装束

能は公家や武家の社会を背景に発展してきたので、その衣裳は有職(ゆうそく)の束帯(そくたい)とも関係があります。

室町時代後期になると狩衣(かりぎぬ)、小袖(こそで)、長絹(ちょうけん)、水衣(みずごろも)、法被(はっぴ)、小袖(こそで)など、能装束の基本的な形式が整い始めました。

武家社会の保護を受けるようになると、能装束は舞台衣裳として特徴あるものになっていきます。

能装束は西陣を中心とした技術の発展とあいまって、織、縫、摺(すり)を中心とする象徴的な図柄を使ったより荘重で豪華なものになっていきました。

【唐織】

能装束の中で最も豪華なもので、本来は中国から伝来した技術による織物の名前でしたが、能ではさまざまな色糸を使い、幾重にも重なった模様を織り出した小袖のことです。

女性の上着として用いられることが多く、描かれた四季の草花は、曲の季節に呼応します。

【厚板】

地厚な織物。原則は男性の着付として使われますが、年配の女性の上着として用いることもあります。

【縫箔(ぬいはく)】

刺繍と金や銀の摺箔(すりはく)で模様を出したもので、生地もうすく柔らかく、優美な感じを与えます。腰巻という着方が一般的です。

【長絹(ちょうけん)】

女性は優美に舞を舞う役に用いられますが、男性でも単(ひとえ)の法被(はっぴ)のかわりに平家の公達(きんだち)が着けます。

背と両袖に大胆な模様が織られています。

【水衣(みずごろも)】

薄い絹の広袖で、女性が着るときは腰巻の上に着ることが多いのですが、それ以外は水衣の上に腰帯をして着ます。

【狩衣(かりぎぬ)】

単(ひとえ)と袷(あわせ)があります。単は絽(ろ)、紗(しゃ)などに金銀糸を織り込んだ模様があり、神主、老神などの役に用います。袷は、金襴(きんらん)、緞子(どんす)に幾何学的な柄を織り出したものが多く、神体、天狗、鬼などの強い役に用います。蜀紅(しょっこう)模様のものは特に「翁(おきな)狩衣」といって翁専用に使います。

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