子を産まない選択をした私は、生産性の無い国家のお荷物なのか? ~ハンナ・アーレントの『人間の条件』から考える女性の幸せ~

出生率の低下や少子化は誰のせい?

はいみなさんこんにちは。

昨今、出生率の低下や少子化が叫ばれていますね。

そんな中、私は子を産まない選択をしました。

理由は、私の出自に関係しています。

私は両親の愛によってではなく、都合の良い家父長制の条件下で生まれたからです。

命ってそんな簡単に家督相続や血縁相続の都合によって生んでもいいのか?

誰かの抑圧の上に成り立つ命の再生産の価値ってなんなんだ?

シンプルに、子育てって楽しくなさそう。

出産って痛そう。

男ってウチの父みたいに命の再生産から逃げそう。

いろんなことを考えて、産まない選択をしました。

さて。そんな私は、生産性が無くて国家のお荷物なのだろうか?

非国民なのか?

生きる価値が無いのか?

今日は、ハンナ・アーレントが記した『人間の条件』をもとに、女性の幸せについて考えていきたいと思います。

人間の生きる本質は、命を再生産することだけなのか?

さて、まずは「遺伝子が優秀な子を産み増やせよ」という優生思想についてですが、

科学の成果を応用することを大前提にし、それに生活を合わせてしまう(テクノクラシー、つまり、科学的に正しいと証明されたものを盲目的に人間の営みに利用すること)と、

各人が言語を駆使して、理想を形成する(よりよい幸福を、ボトムアップで考えて実践すること)必要はなくなってしまいます。

執筆者の私は大学時代、心理学という科学を専攻していました。

その上で、科学という学問はとても重要であると考えます。けれど、その研究成果を人間の営みに応用する場合、それが本当に幸せへの道筋となりえるか、話し合うことが重要であるとも考えています。

ラテン語において「生きる」とは、「人びとの間にある」を意味します。

つまり、ローマ人たちが、人間の生きる本質とは、「他の人々との関係を持っていること」だとみなしていたわけです。

決して、所有と相続が生きる本質では無いことがわかります。

またアーレントは、こうも考えました。

愛とは、異質な者同士が公的空間で、議論や意見交換ができること。

その反対は全体主義。先ほどの優生思想など、たった1種類の考えに染まった社会においては、

「反逆的だったり優生でない人」を静粛することが正義となってしまいます。

「女は遺伝子が優秀な子を産むべき」という同調圧力は、加害意識の無い世間の暴力なのです。

労働と仕事の違い

アーレントは、こういう風にも考えました。

生命体としての人間は死んだら終わりです。しかし、生きているうちに何らかの価値や哲学を生み出し、それをみんなで共有して利用することで、自分の存在した痕跡を残すことができる、と。

女は子を産むだけが価値ではありません。

女も人間です。

能動的に価値や哲学を生み出すことも、立派な価値なのです。

また、家族というものは、必要(自由の反対概念)だから存在するのです。

子どものうちは、親に養われなければ生きていくことができません。その意味において自由ではありません。

しかし人は大人になり、経済的自立をすることで、そういう家族の「必要」や「制約的暴力」から解放されるのです。

しかしながら、その経済力が重要だからといって、自由を売り渡して労働の奴隷になるのであれば、それは本末転倒で、幸せとは言いません。

労働と仕事は別の概念です。

労働とは、人間の身体維持のための単調な営みです。

それに対して仕事とは、世界を構築する価値を産出する営みです。

私のような「子を産まない選択をした女」でも、世界を構築するための哲学ないしは価値を生み出すこともできるわけです。

また、世界を構築できない人々であっても、ただ生きているだけで、価値があるのです。

東大出身のユーチューバーである「にーちゃ」さんは、こう言っていました。

稼げる能力の有無と、命の価値は無関係である。

世の中には、稼げる人もいたり、絵の上手い人もいたり、足が速い人がいたりする、ただそれだけのこと。

日本が本当に先進国であるならば、優生思想という稚拙な思想は刷新されていくべきである。

最後に。私は、自分の身の安全のために、大衆の同調圧力に協力して、加害意識もなく少数派に暴力を与えるというような、日本的器用に生きることはしません。

ただただシンプルに、困っている隣の人に小さな気遣いをするということを続ける、という愛を実践していきたいと思っています。

労働しているから偉いとか、子を産み育てて出生率に貢献しているから偉いとか、そういう物差し、どうでもいい。

執筆者:山本和華子

もっと詳しく知りたい方は、コチラの本がオススメです。

私の著書、『大人の週末、自由研究』が出版されました。

フォトグラファーとしても活動しています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

資産運用・日本文化・建築デザインを中心に記事を書いています。
ココナラにて、日本文化・京都観光・古典文学に関するオンラインレッスンを行っています。
オンラインレッスンについて興味のある方は、メッセージをいただけると幸いです。

目次
閉じる