茶道具の銘としてあてられた能の演目には何がある? ~日本文化紹介シリーズ~

はいみなさんこんにちは。

今回は、茶道具の銘としてあてられた能の演目について紹介していこうと思います。

目次

染付高砂花入

 染付(そめつけ)とは、白地の素地に呉須(ごす、青色)を用いて下絵付けを施し、藍色に発色させた陶磁器のことです。

「高砂(たかさご)」という能の演目は、夫婦円満のめでたさを祝う荘重な名曲です。品格の高い老夫婦の立像は、そのまま生命の瑞相を表しています。

この花入は、全体を砧(きぬた)形にして鯉耳を付けています。「高砂」の名がめでたく、またその鯉も祝意があって賞美されています。

芦屋高砂釜

芦屋釜は、福岡県で造られた釜です。

真形(しんなり)とよばれる端整な形と、胴部に表される優美な文様が好まれています。

現代の茶席において芦屋釜は主役を務める存在であり、大変珍重されています。

芦屋高砂釜の胴には一面に尉と姥の姿を現わし、他面には竹林に鶴を配してあります。

無限斎好 羽衣香合

無限斎は、裏千家の第14代です。国内外への茶道普及の為に、最晩年まで精力的に活動した家元として知られています。

「好(このみ)」とは、ある人に好まれた様式。この香合は、無限斎に好まれた形をした香合をしている、という意味です。

「羽衣」は、名山富士を背景に三保松原を舞台として、天の羽衣をとられた天女が、漁夫の好意で無事昇天します。

春風に衣をたなびかせ、舞楽を奏でつつはるか雲間に天女の姿は消えていきます。

十一代中村宗哲(千家十職の塗師)の作で、甲に無限斎の字形で「羽衣」の字が銀蒔絵で施されています。

備前伊部手(いんべで)茶入 銘関寺

伊部手とは、備前焼の装飾技法の一つです。

能の演目「関寺小町」は、老い衰えた小野小町が歌道について語り、かつての華やかな生活をしのぶ話です。

この茶入は小堀遠州好みに分類され、中興名物となっており、姿が全体に侘びているため、老いた小町に見立てての命名と言われています。

千宗旦作共筒茶杓 銘松風

共筒とは、茶杓と同じ竹で作られた、同一作者の手による筒のことです。

能の演目「松風」とは、在原行平が寵愛した須磨の海人乙女、松風・村雨姉妹が旅僧の夢に現われ、恋心を訴え舞を舞う、詩情あふれる名曲です。

執筆者:山本和華子

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