小川洋子『海』あらすじと感想 不思議、そして心温まる7つの物語

『海』は、2006年に刊行された、小川洋子の短編集です。

7編の短編と、自身の著作へのインタビューが掲載されています。

目次

結婚の承諾を得るために泉さんの実家を訪れた、僕。

彼女の弟の部屋に泊まることになった僕は、そこで彼の不思議な演奏を聴くという物語です。

「小さな弟(といっても成人している)」の不思議な世界観に耳を傾ける僕。

「小さな弟」の、大きな海を感じる物語。

風薫るウィーンの旅六日間

20歳の「私」は貯金して参加したウィーン旅行のツアーで、60代半ばの琴子さんと同室になり、彼女と行動を共にするようになる物語。

本来なら王道の観光地として行くべき美術史美術館を素通りし、シェーンブルン宮殿を見物もせず、プラター公園の観覧車にも乗らない「私」の覚悟が面白い。

そして最後のどんでん返しに、思わず「ひっ」と悲鳴をあげてしまうのである。

ひよこトラック

天涯孤独のホテルのドアマンの男は、祖母と少女が暮らす家の2階に下宿していた。

母親を亡くして言葉を失った少女は、生物の抜け殻を通して男と交流し始めるという物語。

どこか異国情緒漂う物語。

少女と男の、不器用でほっこりしたやりとりに、思わず笑みがこぼれます。

声の出ない少女と抜け殻、声を出す少女と生きたヒヨコの対比が美しく、そして切ない。

ガイド

公認観光ガイドのママのツアーに同行していた僕は、ステッキを持った男と隣り合わせになり、交流を持つ。

男は元詩人で、現在は題名屋をしているという風変わりな男だった。

題名屋の男のキャラクターがなんとも愛らしい。

この物語には「名言」が出てくる。その「名言」こそ、すべてを物語っている。

表のガイドとしての公認観光ガイド(僕のママ)、裏のガイドとしての題名屋の男、それぞれにスポットがあたり、読んでいて楽しい。

執筆者:山本和華子

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