ヒトは、他の生物と違い、なぜ芸術や創造性を自分たちの生活に取り入れたのでしょうか。
①意味を求める
人間は、「なぜ生きているのか」「自分は何者なのか」という問いに応えられるような、
強度の高い「意味」を構築することで生き延びてきました。
その「意味」を形作るものの一環として、芸術を創造したのですね。
②感情の表現と共有
人間は、言葉を獲得する以前から、音や図などを通して他者と情報を共有してきました。
「向こうにマンモスがいるぞ!」とかね。
アリストテレスの言葉に、「人間は社会的動物である」というものがあります。
人は共同体(社会、ポリス)を形成し、「より善く生きる」ことを目指してきたのですね。
だからこそ、他者と情報を交換したり、共有したりする必要がありました。
その音や図が、芸術に発展していきました。

③死と有限性の自覚
人は、他の動物と異なり、自分たちが「いつかは死ぬんだ」ということを知りました。
ゆえに、「生きているうちに、自分がこの世に生きていたんだ、という証明(のようなもの)を残したい」
というような願望を強く持つようになりました。
私の好きな絵画に、ニコラ・プッサンの『アルカディアの牧人たち』があります。
この作品が暗喩していることも、この「死と有限性の自覚」に繋がっていきます。
やっぱり、この「死の自覚」こそ、強く芸術や創造性への欲求に繋がったのではないか、と
私は個人的に考えています。
【まとめ】
人類が芸術や創造性を手に入れたのは、打算的な生存戦略ではなく、
根源的な欲求に基づいたものなのではないでしょうか。
創造性と円環
最近、私は、
人は円環的な構造世界で、他者と反響したり共鳴したりしながら創造を繰り返しているのではないか、
と考えています。
人はよく、「何者かになりたい」と思うものです。
でも、本当は、何者かになろうというような打算的な考え方じゃなくて、
自分にできることや、大切にしていること、好きなこと、得意なことを、
夢中になりながら続けていくことの方がよほど大切なんじゃないかなって思います。
これは、私の王子様の姿を見て、思ったことね。
その生きる姿勢が、人間の本質的な「創造性」に繋がっていくのかなと思いました。
それで、結果として形になる場合もあるかもしれないし、ならないかもしれない。
でも、確実に言えることは、続けていくことで、人さまからの反応は増えていきます。
それはつまり、
自分のおこないが、社会に求められるようになっていく、ということに繋がります。
そういう意味においても、人間というのは、一人で生きているわけではないのです。
執筆者:山本和華子

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