インドの宗教・哲学・神話をわかりやすく解説 ~バラモン教、ヒンドゥー教、リグ・ヴェーダ、ウパニシャッド、ブラフマン~

はいみなさんこんにちは。今日は、インドの宗教についてお伝えしたいと思います。

目次

バラモン教とヴェーダの出現

紀元前1500年前後に、アーリア人がインダス川上流に移動し、先住民族を征服して定住しました。アーリア人は戦闘に長けた民族で、家父長制の大家族を単位として部族を形成しました。

アーリア人はまた、宗教的な民族でもありました。アーリア人が祭祀の際に神々に捧げる賛歌を集成したのが「ヴェーダ聖典」です。

ヴェーダ思想や宗教は、バラモン教と呼ばれます。

バラモン教が民間の信仰や伝承を取り入れて発展したものがヒンドゥー教です。「バラモン教」という名称は、のちにヒンドゥー教と区別するために、ヨーロッパ人がつけた名前です。

ヴェーダ聖典の内容とは?

『リグ・ヴェーダ』・・・紀元前10世紀頃に編纂された最初の聖典です。サンスクリット語で書かれた詩から成ります。インド最古の文献です。自然現象を神格化した多数の神々が登場し、神への賛歌が書かれています。アーリア人はインダス川上流に到来したとき、自然の偉大さに感動したそうです。また、婚礼や葬儀など儀礼の際に詠う詩も収められています。

『ヤジュル・ヴェーダ』『サーマ・ヴェーダ』・・・『ヤジュル・ヴェーダ』が祭詩の集成で、『サーマ・ヴェーダ』は歌詠の集成です。

『アタルヴァ・ヴェーダ』・・・呪句の集成です。

また、主要部分に付随する文献に、ウパニシャッド(奥義書)があります。ウパニシャッドは、宇宙の原理や人間の本質に関する哲学的な教説です。

ウパニシャッド哲学と梵我一如

ウパニシャッドは、ヴェーダ文献の総仕上げとして書かれました。

その思想の中心は、宇宙原理である「ブラフマン」と、個体原理である「アートマン」の合一説「梵我一如(ぼんがいちにょ)」の思想です。

業(カルマ)と輪廻の教説でもあり、仏教が興隆する以前にはすでに成立していました。

インド二大叙事詩「マハーラーバタ」と「ラーマーヤナ」

紀元前2世紀~2世紀の間に、インド二大叙事詩である『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』が成立しました。

吟遊詩人によって民間に伝えられていた戦争や、魔王を征伐する物語が書かれています。

『マハーバーラタ』は、王位継承をめぐる争いの物語を骨格として、様々な神話や哲学的な話などが盛り込まれています。ヴェーダ時代とは異なり、バラモン教からヒンドゥー教への移行が見られます。

ヒンドゥー教の起こり

ヒンドゥー教は、バラモン教の教えが土着の民間信仰などを吸収して大きく変貌を遂げて出来上がりました。

ヒンドゥー教では、世界を創造したブラフマー、世界を維持するヴィシュヌ、そして世界を破壊するシヴァの3神が主神とされています。

ヒンドゥー教が起こったことで、それまでのバラモンの神々の地位は相対的に低くなりました。

そして仏教が興った

紀元前500年ごろに、ゴータマ・ブッダは生まれました。彼は、当時、諸学者が机上で繰り広げていた論争を否定し、真理を求める実践的な理法を説きました。

仏教は、アートマン(自己・自我)を否定した無我の形で、輪廻と業の思想を説きました。

執筆者:山本和華子

【参考文献】

立川武蔵著『はじめてのインド哲学』

沖田瑞穂著『世界の神話』

【本を出版しました】

『アジアの民族文化』

本書は、アジアの美術・音楽・建築が分かる入門書です。
地域別に解説されており、また豊富なカラー資料も掲載されていて分かりやすいです。
「アートや音楽はヨーロッパだけのもの」という先入観が取り払われる一冊です。

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