現在の日本の法制度で、女性の性被害や問題は解決できるのだろうか?

前回の記事では、「日本では女性の人権が守られていない」ことに焦点を当てました。

2022年に起こった滋賀医大生による性暴力事件をきっかけに、私もこの問題について学ぶことにしました。

目次

滋賀医大生による性暴力事件

2022年に起こった滋賀医大生による性暴力事件の被告に対し、大阪高等裁判所は無罪判決を言い渡しました。

飯島健太郎裁判長は判決理由として女性に同意があった疑いを払拭できないとし、暴行や脅迫に当たる行為も認められないとしました。

この無罪判決について反対するオンライン署名運動が展開され、

この署名には多くの著名人らも賛同を表明し、4日間で10万筆を超える署名が集まりました。

そのオンライン署名に私も署名したのですが、それについて私がXでポストしたら、

当時、普通に友人だった男性から、「山本さんってフェミニストだったんですね、男性も大変だよ。女性としてしんどい事例、挙げてみてよ」と言われ、

「キモ~wwww」と思ったと同時に、普通に友人だと思って信頼していた男性だったのに、

思考がマジで意味不明だなと思い、今回、踏み込んで調べてみることにしました。

現在の日本の法制度で、本当に性被害や問題は解決できるのでしょうか。

性被害者が声を上げづらい社会

日本では、性に関する話題が長い間「恥」と見なされ、性被害や性暴力が語られることが避けられてきました。

性被害者が声を上げづらい抑圧された社会環境が、性犯罪の隠蔽や黙認を助長しました。

被害者が警察に相談しても、「被害にあったのは、あなたにも落ち度があるのでは?」という理解の無さゆえの考え方が、日本では依然として根強いです。

性被害を訴えた女性が、服装や交友関係、過去の性的経験について裁判で問われるケースもあります。

政治のジェンダーギャップ

日本の政治は、男性中心の構造が続いています。

現在、女性議員の割合は世界平均を大きく下回っています。

政治的意思決定の場に女性が少ないため、女性の権利問題が政策に反映されにくいという実情があります。

したがって女性の声が法整備に反映されず、性被害保護やジェンダー平等の実現が、世界の先進国と比較しても非常に遅れています。

強姦罪から強制性交等罪、そして不同意性交等罪へ

次に、性被害にまつわる事件に対して適用される法律について見ていきます。

2017年までは、「強姦罪」(刑法177条)が存在していました。

強姦罪の被害者の性別は女性のみで、加害者の性別は男性のみでした。

行為の範囲は膣への挿入のみで、13歳未満は同意の有無を問わず罪が成立しました。

法定刑は3年以上の懲役で、親告罪(被害者が告訴しない限り起訴されない)でした。

また、暴行や脅迫がなければ罪に問えませんでした。

その後、強姦罪は強制性交等罪と変更され(2023年まで)、現在は不同意性交等罪(改正後の刑法177条)に変更されました。

不同意性交等罪は、「不同意」という言葉を明示することで、被害者の意思に反する性交等が犯罪であることを強調しています。

不同意性交等罪ができたことで、これまで処罰対象に含まれていなかった行為や、

処罰対象となるかどうかがあいまいだった行為が、明確に処罰対象に含まれるなど、刑事事件化される範囲が広がりました。

不同意性交等罪の被害者・加害者ともに性別は問いません。

行為の範囲は、膣・肛門・口腔への挿入で、16歳未満は同意の有無を問わず罪が成立します。

法定刑は5年以上の懲役で、非親告罪(告訴なしでも検察が起訴できる)です。

不同意性交等罪は、暴行・脅迫がなくても、同意がない場合は成立します。

被害者が抵抗したかどうかに関わらず、同意の有無が判断基準になることで、より多くの性被害が適切に裁かれるようになりました。

不同意性交等罪の問題点

法改正により、より多くの性被害が適切に裁かれるようになったことがわかりました。

しかし、それでも問題点は残ります。不同意性交等罪に未だ残る問題点についてみていきましょう。

1、成立要件にあいまいな点がある

刑法では、構成要件は明確に定めなければいけない、という原則が適用されます。

不同意性交等罪に掲げられている構成要件の中には、客観的に不明確さ、不明瞭さが残る部分が少なくありません。

不同意性交等罪の成立要件には、処罰範囲を事前に理解しにくいという点が指摘されています。

2、犯行の証拠がなければ被害を訴えられない

不同意性交等罪を適用して刑事責任を追及するには、構成要件に該当する犯罪事実が存在することを、

証明する必要があります。

性犯罪被害者が加害者に対して、刑事責任を追及するハードルが高いままだという問題が残っています。

今回調べてみて思ったこと

今回調べてみて思ったこととしては、「法改正したの、めっちゃ最近じゃん!」ということでした。

また、この社会で生活する女性ですら、認識が低いために、「被害者にも落ち度があったんじゃないのか」と無自覚に二次加害(セカンドレイプ)する可能性もあるんだなということがわかりました。

あとは、同じ女性でも、立場が違うと考え方も異なる(まぁそれは当然なのかもしれませんが)ので、「女性だから」といって、女性の全員が性被害者の声を理解するとは限らないよなと思いました。

執筆者:山本和華子

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