【日本の建築家の代表作を解説】 丹下健三、磯崎新、SANAA、隈研吾、坂茂、藤森照信

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丹下健三 1913年~2005年

日本では「世界のタンゲ」と言われたように、日本人建築家として最も早く国際的に活躍した建築家の一人です。

第二次世界大戦復興後から高度経済成長期にかけて、多くの国家プロジェクトを手掛けました。

彼は日本建築界を、世界レベルにまで地位を確立させました。

【代表作】

広島平和記念資料館(1955年)

原爆資料館、原爆慰霊碑、原爆ドームは、平和大通りにより一直線に結ばれており、

その軸線と垂直に交わる場所に、平和記念資料館が設計されました。

香川県庁舎(1958年)

香川県庁舎は、フランス人建築家のル・コルビュジエが提唱した「近代建築の5原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由なファザード)」に基づいています。

東京カテドラル聖マリア大聖堂(1964年)

この大聖堂の屋根はHPシェル構造(双曲放物面を利用した一体構造)であり、

壁と屋根が一体となっています。

磯崎新 1931年~2022年

磯崎新は、建築のみならず、美術、デザイン、映画などの国際的な舞台で活躍しました。

彼は、どの思想領域にも属さない個人的な思考と空間の展開でありながら、

政治、社会、文化にも造詣が深い人物でした。

【代表作】

アートプラザ(旧大分県立中央図書館)

建物中央には「百柱の間」と呼ばれる大閲覧室があります。

天井から漏れる自然光が、館内に陰影を作り出す設計が特徴的です。

福岡相互銀行本店

独特の質感を持つ外壁の石は、インドから運ばれたものです。

ロビーの壁は、トラバーチンと呼ばれる、光沢あるベージュの大理石で仕上げられています。

SANAA 1995年~

SANAAは、妹島和世西沢立衛による建築家ユニットです。

SANAAの建築の特徴は、建築の構成における個々の要素をフラットに並列し、空間に主従関係を作らないこと、

ガラスを効果的に使うことで、屋内を周囲の自然、光と継ぎ目なく緩やかに連続させることです。

【代表作】

Dior表参道

4面すべてフラットなガラスで覆われた透明な外装の内側に配された、

ドレープ状にカーブさせた半透明のアクリルスクリーンの柔らかな表情が特徴です。

金沢21世紀美術館

外壁や建物内の壁面の多くにガラスが採用され、透明であること、明るいこと、開放的であることが特徴です。

ルーブル美術館ランス別館

この分館は、かつて炭坑で栄えた敷地に建てられたため、炭鉱跡地の景観を壊さない建物配置となっています。

隈研吾 1954年~

隈研吾は、土地の環境、文化に溶け込む建築を目指し、優しく柔らかなデザインを提案する、国際的な建築家です。

これまで20カ国を超える国々で設計を行ってきました。

彼の建築は、ルーバーの多用と素材の実験的な使い方に特徴があります。

【代表作】

サニーヒルズ南青山店

外観は、日本の木造建築として伝わる地獄組みというジョイントシステムを用いています。

根津美術館

都市空間に対して、竹林によってゆるやかに開いているのが特徴です。

この美術館は、都市と森とを接続しています。

TOYAMAキラリ

ガラス美術館、図書館などを含む複合ビルです。

吹き抜けの空間では、自然光を最大限に活用できるように、木が斜めに施されています。

坂茂 1957年~

坂茂は、紙管やコンテナなどを資材とする建築をはじめとした、災害支援活動で知られている建築家です。

1995年には、建築面から被災地支援をするボランティア組織VANを発足しました。

VANの活動は、紙管によるログハウスや仮設住宅の建設、避難所用間仕切りシステムの提供などがあります。

【代表作】

ポンピドゥ・センター・メス

フランスのロレーヌ地方にオープンしました。

笠のようなユニークなフォルムで、貯めた雨水を庭で再利用するなどのエコロジーな建物となっています。

富士山世界遺産センター

木格子の外壁を持つ「逆さ富士」の形の建物が特徴的です。

逆さ富士形の建物内部は、1階から5階まで緩やかな螺旋スロープで繋がり、

斜路を登りながらスロープ展示を鑑賞することで、疑似登山体験ができます。

大分県立美術館

1階には、巨大な無柱空間であるアトリウム(中庭のような開放的な空間のこと)があり、

その中に気密性、遮音性を持った可動展示壁で自由に間仕切れる企画展示室があります。

藤森照信 1946年~

藤森照信は日本と東アジアを研究フィールドとし、近代建築史・都市史研究の第一人者として多くの業績を残しています。

彼は「自然素材をどう現代建築に生かすか」「植物をどう建築に取り込むか」をテーマに、建築に取り組んでいます。

奇想天外で斬新な発想、自然素材と人工素材の大胆な組み合わせに、彼の設計の特徴があります。

【代表作】

ラ・コリーナ近江八幡

緑に覆われた草屋根は、後ろにそびえる八幡山と一体となり、建物自体も山のように見えます。

多治見市モザイクタイルミュージアム

タイルの原料を採取できる「粘土山」を思わせる形が特徴的です。

壁はまるで自然の土が積み上がったかのような見た目をしていますが、中身は鉄筋コンクリート造です。

「科学技術を自然で包む」という技法は、建築法として彼が目指しているものの一つです。

ラムネ温泉館

シマウマ模様の外壁と、屋根に生えた松の木が特徴的な建物です。

外壁には焼き杉が使われており、漆喰の白と焼き杉の黒のコントラストが明るい印象を与えます。

執筆者:山本和華子

写真提供:写真ac https://www.photo-ac.com

イラストは、生成AIにより作成しました。

【本を出版しました】

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