ビザンティン美術 4~15世紀

紀元前8世紀に興ったローマ帝国はのちに東西に分裂しました。
やがて西ローマ帝国は滅亡、東ローマ帝国はビザンティン帝国として勢力を強めます。
キリスト教とギリシャ、古代ペルシャが融合したビザンティン美術は、6世紀のユスティニアヌス帝時代に最盛期を誇りました。
東イタリアの町ラヴェンナにあるサン・ヴィターレ聖堂のモザイクがビザンティン様式の代表作となっています。
ちなみにモザイクとは、ガラスの破片を寄せあわせて模様を表現する装飾美術の手法のことを言います。

この時代のフレスコ画は、金地背景に隈取りや縁取りを施し、鮮明で強い印象が特徴となっています。
フレスコ画とは、壁に漆喰を塗り、乾ききらない鮮明なうちに、水に溶かした顔料で描く技法です。

ロマネスク美術 11~12世紀

修道院を中心に繰り広げられたロマネスクの特徴として、石造りの修道院や教会堂、石造天井が挙げられます。
「ロマネスク」という言葉は「ローマ風の」という意味です。
古代ローマでは木材に代わり石材が使われるようになり、石材を用いた巨大建築を実現する技術が発達し、ロマネスク様式が誕生しました。
石造の天井を支えるために、建物の壁は分厚く造られるようになりました。
ロマネスクの教会内部の壁や天井にはフレスコ画が普及し、キリスト像やマリア像などが描かれました。
ロマネスク美術は威厳のある超越的な雰囲気を醸し出すと共に、字が読めない中世の人々にもキリストの教えを伝えること、そして人々の心に強く訴えられるようなおどろおどろしい表現がなされました。
ピサの斜塔やサンタ・マリア大聖堂はイタリアの代表的なロマネスク聖堂です。

ゴシック美術 12~14世紀

ゲルマン民族のゴート族にちなみ、この時代のヨーロッパの美術様式や建築様式は「ゴシック」と呼ばれるようになりました。
パリ北部にあるサン・ドニ大聖堂の改築にあたり、聖堂を壮大なものにすることで王権を完璧なものとして印象づけようとしたのがゴシック建築の始まりです。
サン・ドニ大聖堂は、歴代のフランス王家の墓所であり、フランスにとって特別な地位を占めています。

ゴシック建築では天井の重量を、「フライング・バットレス」という新しい技術によって支えることで、壁を薄くすることが可能になりました。
更に、その壁に大きなステンドグラスをはめ込むこともできるようになりました。
執筆者:山本和華子
写真提供:写真ac https://www.photo-ac.com
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