ハンナ・アーレントってどんな哲学者だったのか? ~自分の頭で考えて、自分なりの意見を発言するということ~

はいみなさんこんにちは。

今日は、ドイツの女性哲学者、ハンナ・アーレントがどんなことを社会に提唱していたのかについて、

解説していきたいと思います。

ハンナ・アーレント(1906年~1975年)とは、ドイツ出身のユダヤ人哲学者で、

アメリカ亡命後にナチス・ドイツ・全体主義体制を研究した人物です。

アーレントの思想の特徴は、「経験」を重視したことです。

伝統的な価値観から離れ、自らの現実感覚・経験から世の中を把握することを重視しました。

全体主義は20世紀初頭に例外的に起こった現象ではなく、

これからの時代に登場する可能性もあるのだと、彼女は主張しました。

【全体主義とは?】

個人の利益より全体の利益を優先し、個人が全体のために従属しなければならないとする思想のこと。

私たちは、世界大戦という悲劇を繰り返さないために、どうしてくべきでしょうか。

この問いに対してアーレントは、『人間の条件』によって答えようとしました。

アーレントは、人間の自発性に基づく他者との関係性を築く行為、「活動」を重視しました。

全体主義(トップダウンの単一価値観)で社会を統一・統制するのではなく、

現実に基づいた活動を続けていくことが大切であると説きました。

確かに、みんな同じような価値観・集団の中で生きているのは、

その集団内で生きる人々も、その集団を統制する側の人々も、ラクではあります。

しかしラクだからといって、悲劇を繰り返してはならない。

ラテン語で「生きる」とは、「人々の間にある」を意味します。

つまり、ローマ人たちが、人間の生きる本質とは「他の人々との関係を持っていること」だとみなしていたのです。

本来、interest(利益・関心)は、ラテン語をひもとくと「間にあること」という意味であり、

「所有」という意味ではありません。

アーレントは、労働と仕事についても説きました。

労働は、生物的サイクルの中に入りこんで生命維持のための単調な営みであることに対し、

仕事は、社会を構成する価値や物を創出する営みである。

先述の活動と仕事により、各々が自立して社会を創っていくことで、初めて世界が世界となりえるのです。

執筆者:山本和華子

【参考文献】

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