ピアニスト、角野隼斗『Human Universe』 ~極上のクラシック音楽を聴いてみたシリーズ~

Youtubeでは「かてぃん」という名で親しまれている、角野隼斗さん。

私が最初にかてぃんを知ったのは、宇多田ヒカルさんの「One Last Kiss」を演奏している動画を知ったときですね。

ぴえぇ~~~って驚愕しました(語彙力)。

今回はその「かてぃん」こと角野隼斗さんのアルバム、『Human Universe』を聴いていきたいと思います。

目次

アルバム『Human Universe』について

「Human Universe」とは、地球上の全ての文化に共通してみられる要素・パターン・特徴・習慣のことです。

おぉん????

私もずっとそれを追い求めている人生を歩んできましたが・・・

それを体現する単語があるんですね!!!知らなかった・・・

私も古今東西、たくさんの人類が築いてきた文明・文化を学んできましたが、その共通項を探る学びはいつだってゾクゾクします。

さて。角野さんは幼い頃から宇宙に興味を持っていたそうで、

音楽と宇宙、人の心の連環をテーマにこのアルバムを創りあげたそうです。

私が学生の頃、ダグラス・ホフスタッター著『ゲーデル・エッシャー・バッハ』という本が流行しましたが、

その本の内容と近い部分もあることでしょう。

本作の制作の原点は、芸術と科学の古い相関関係に立ち返り、古代の宇宙の概念に思いを馳せることだったそうです。

私が「芸術と科学の古い相関関係」で思い出すのは、フェルメールの「天文学者」と「地理学者」です。

フェルメールはオランダの画家ですが、フェルメールの生きた時代、ヨーロッパでは「科学」というものの学問が形作られつつある時期で、フェルメールはまさにその渦中を芸術にしたのですね。

2015年に(もう10年も前!)、京都市美術館で「ルーブル美術館展」という企画展が開催されていて、

それを観に行ったのですが、もう楽しすぎてフェルメールの芸術に出会えることが嬉しすぎて、

絵画の前でニマニマしながら屈伸していたのを覚えています。

今振り返れば、かなり変な奴ですよねwww

Human Universe

では本編に入っていきましょう。

この作品は角野さん自身が作曲しています。

はじめは静かなバロック調の音楽から始まり、その後、宇宙ないしは世界の始まりを予感するような躍動感のある旋律に変わっていきます。

そして何度も、低音が奏でる漆黒で無限に拡がる宇宙と、高音のキラキラした星のまたたきのフレーズが繰り返され、美しく響きます。

クライマックスは壮大なメロディが輝きますが、最後、再び静かなメロディーに集結します。

それはまるで、宇宙の一生のような。

角野隼斗:3つのノクターン I. Pre Rain

この作品は、全体的に幻想的で気怠く、エリック・サティの「ジムノペディ」を彷彿とさせるような世界観です。

その、エリック・サティの「ジムノペディ」とは、裸の青少年たちが踊りながら、古代ギリシャの神々たちを讃える祭典・儀式のことを指します。

実は角野さんは、「古代ギリシャの人々が、宇宙が調和のとれた音楽(天球の音楽)を生み出すことを信じていた」というコンセプトを愛しているそうで、それをこの作品で表現しているのかしら、と思いました。

角野隼斗:3つのノクターン II. After Dawn

大変に美しい作品です。

私はこのアルバムの中で、一番好きな作品かもしれません。

実際にお聴きになり、あなたの耳と感性で、この作品の美しさに触れてみてください。

このアルバムのメッセージとは

このアルバムは全体を通して、ショパンのノクターンやドビュッシーの月の光、モーツァルトのきらきら星変奏曲をさらに極めた角野さんオリジナルのきらきら星変奏曲など、「星や月、夜空を連想した作品」が多く選ばれています。

角野さんは、本当に心から空を愛し、宇宙を愛し、そして世界を愛している。

生粋のロマンチストで、永遠の少年なのでしょうね。

思索を繰り返しながら音楽という芸術を介して宇宙を旅しているかてぃんさん、最高に素敵な人生でいいなぁと思います。

執筆者:山本和華子

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