世界の民族衣装 ~地理的状況と生活スタイルから見る服飾の特徴~

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日本

南北に長い国土を持つ日本は、地域による気温差が大きいです。

日本の着物は、袖やV字開きの衿など、高温多湿の夏に合わせた形となっています。

中国

広大な国土には多様な地形があり、気候も変化に富んでいます。

清(しん、18世紀)の龍袍(ロンパオ)・・・龍の文様を施した、皇帝が着用する儀礼服です。

皇帝の力や徳を表す十二章(12種の文様)が施されています。

中国の民族衣装は、大きく「漢服」「胡服」に分かれます。

漢服は、現在も中国の人口の9割を占める漢民族の伝統的な衣装です。

漢服は全体的にゆったりとしたつくりで、優雅な印象のある衣装です。

襟があり、上下につながった前開きの布に締めたスタイルです。

胡服は、北方の騎馬民族が着用していた衣服のことです。

胡服の中でも代表的なものは、満州族が着用した旗袍(チーパオ)です。

現在のチャイナドレスは、旗袍に洋服の製法を取り入れてできたものです。

スリットは、馬に乗りやすいようにした形です。

モンゴル

大陸性気候で乾燥し、冬の寒さは特に厳しくなります。

遊牧系騎馬民族であるモンゴルの服飾には、騎乗に適した特徴がみられます。

例えば袍(ハラート)は、足と腕の動きを妨げない、乗馬に適した特徴が見られる衣装です。

インドネシア

国民の多くはイスラム教徒で、各地域において多様な民族文化を形成しています。

ジャワ島ではバティックと呼ばれるろうけつ染めが盛んに行われ、日本でもジャワ更紗の名前で知られています。

儀礼用布(グリンシン)は、独特な経緯絣(たてよこがすり)で、バリ島のテンガナン村でのみ織られています。

ベトナム

南北に細長いベトナムは、南部では熱帯モンスーン気候、北部は亜熱帯性気候と、気候が異なります。

アオザイは、クワンと呼ばれるパンツと組み合わせます。

アオザイは、中国の旗袍(チーパオ)の影響を受けたものです。

ベトナムは、長く中国の王朝の支配を受けたため、生活全般に中国文化の影響が見られます。

インド

北部にヒマラヤ山脈がそびえ、ガンジス川流域には肥沃なヒンドスタン平原が広がります。

南部にはデカン高原、西部にはタール砂漠があり、気候も地域によって異なります。

サリーは、ヒンドゥー教の衣装です。ヒンドゥー教では、無縫製の衣服を清浄と考えます。

サリーは、長さが約5.5メートルの一枚布です。

イラン

起伏に富んだ地形で、気候も大陸性気候、地中海性気候と地域によって異なります。

厳格なイスラム教国であるイランは、日常生活においてもその考えが深く浸透しています。

ゾロアスター教の儀礼用ヴェールをマクナエと言います。

マクナエは、花嫁が被るものとされています。中央の円文はゾロアスター教の光の神を表すとされ、その周りには山羊や孔雀、種々の花が刺繍されています。

トルコ

トルコの国土のほとんどが山地です。

トルコは四季の変化に富み、それぞれの季節に対応できるよう、衣服を重ねます。

パンツ(シャルワール)を履き、上にはチュニック(ギョムレク)と前開き型のドレス(アンテリ)を着て帯を締め、さらにジャケットを重ね着します。

ドレス(ビンダリ)は、「無数の枝」を意味します。花や枝のモチーフが華やかに刺繍されたドレスの呼称となりました。

イエメン

国民の大部分がイスラム教徒です。

紅海やアラビア海に面し、古くから香料貿易によって繁栄し、「海のシルクロード」要塞の地でもありました。

木綿更紗のヴェールはコールジと呼ばれます。

イエメンは海上貿易によって、インドから多くの染織品がもたらされました。

短刀(サビキ)は、多くの男性が腰に携えています。刀の形や装飾から、出身地や部族、社会的な地位がわかると言われています。

イエメンは中東における銀製装身具製作の中心地で、その担い手はユダヤ人の職人でした。

執筆者:山本和華子

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