はいみなさんこんにちは。
めちゃくちゃ久しぶりに、日本文化紹介シリーズです。
茶道を習っている方でしたら、一度は「銘」に対してちょっとしたギモンを持つ機会もあるかと思います。
なんで「銘」を付けるんだろう?
海外にも銘の文化ってあるのかしら?
今日は、その「銘」について、徹底解説していきます。
そもそも「銘」って何?
シンプルに一言でいうと、「銘」とは、優れた作品に名前を付けることです。
茶道具は一つひとつが一点ものであり、「作品」です。
茶道具に特別な名前を付けることで、その道具の価値や美意識、意味を高める文化です。
その作品に名前を付けることで、魂を宿す、という解釈もあります(諸説あります)。

日本における「銘」の起源
日本において銘を付ける文化は、実は茶道の成立より以前からありました。
日本刀に付ける「銘」です。
日本刀に銘を刻む文化は、平安時代中期(10世紀)から見られます。
日本刀に付けられる銘は、刀工の名前や出身地を表すもので、製作者の誇りや品質保証の意味合いがありました。
茶道具への銘は、室町~戦国時代(15世紀)に付けられ始めます。
名物(逸品の道具)に対して所有者や茶人が銘を付けることで、道具に物語性や精神性を与える文化が発展しました。
なぜ「銘」を付ける文化が根付いたのか
①職人の誇りや責任の証明
刀工が自分の名前や工房名を刻むことで、「作品に責任を持つ」という姿勢を表しました。
②精神性・物語性の付与
茶道具に銘を与えることで、「道具に心が宿る」「対話できる存在」として道具と向き合う姿勢が重視されました。

海外の名前を付ける文化との比較
中国では、青銅器・陶磁器・書画・刀剣などに「款識(かんし)」を刻む文化があります。
ヨーロッパではルネサンス以降、画家や職人が署名(サイン)をする文化があります。
中東・イスラム圏では、刀剣にコーランの一節や作者名を刻む文化があります。そこには装飾と祈りの意味合いがあります。
これは私の個人的な感想ですが、刀剣にコーランの一節を刻むのは、「自分の身を守る」の意味合いも含まれているんじゃないかなと考えています。
執筆者:山本和華子


【本を出版しました】