能は、静寂と緊張が織りなす日本の伝統芸能の一つです。
能のルーツは奈良時代に伝来した散楽や、鎌倉時代に発展した猿楽と言われており、室町時代に大成しました。
能面と華やかな装束を用いて、人の悲哀や怒り、情などといった人間の深い感情を、優美な舞と謡(うたい)で表現します。

安宅

源義経一行が奥州へ落ち延びる途中、「安宅の関」で関守に、「源義経なのではないか」と疑われる場面を描いています。
家来の武蔵坊弁慶が主君である義経を守るため、とっさにあり合わせの巻物をあたかも本物の勧進帳(かんじんちょう)のように即興で読み上げて、「自分たちは東大寺再建の寄付を募る山伏の一行」であることを示します。
勧進帳とは、お寺の修理の寄進を募る経緯や趣旨などを書いた帳面です。
関守は、彼らが義経一行だと分かっていながら、弁慶のとっさの機知と覚悟に感動し、彼らを関所に通します。
後世、歌舞伎『勧進帳』としても大きな影響を与えました。

井筒

在原業平と紀有常の娘の幼なじみの恋を描いた、叙情性の高い演目です。
夢幻能の傑作とされ、能の美意識が凝縮されています。

高砂

高砂と住吉に住む老夫婦が、実は相生の松の精であると明かす演目です。
夫婦和合、長寿、国の平安を象徴するお祝いの内容で、現代でも結婚式や行事などでよく上演されています。
屋島

源平合戦の英雄・源義経の霊が、屋島の戦いを回想する修羅能です。
弓流しの逸話や、義経の超人的な活躍が印象的な作品で、勇壮さと哀切さが同居する、武将能の代表作です。
執筆者:山本和華子
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イラスト提供:イラストac https://www.ac-illust.com
その他のイラストは、生成AIにて作成しました。

