シンガポールの歴史
19世紀、イギリスの東インド会社のトーマス・ラッフルズは、シンガポールの立地に着目しました。
インドから中国に向かう貿易船の寄港地として最適だと考えました。
1819年にラッフルズは、マレー半島南部一帯を支配していたジョホール王国の混乱に乗じてシンガポールに上陸、イギリス商館を建設しました。その後、植民地建設を進め、自由港を設立しました。1824年に正式にイギリスの植民地となったシンガポールは、貿易港として急速に発展しました。
シンガポールの高級ホテルとして知られるラッフルズホテルは、彼の名前が由来しています。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、イギリスの植民地であるマレー半島では、スズの産出とゴムのプランテーション開発が急速に進みました。労働力として華人やインド人などを受け入れたため、人口が急増し多民族化が進みました。
19世紀、スエズ運河の開通により、多くの船舶がマレー海峡を通過するようになりました。それにより、シンガポールは中継貿易で栄えることとなりました。
繁栄を続けていたシンガポールですが、第二次世界大戦中の1941年12月、日本軍の攻撃により大きな被害を受けました。翌年、シンガポールは日本軍の軍政下に置かれ、「昭南島」と改名されました。
1945年に日本が第二次世界大戦の敗戦国となりシンガポールから撤退すると、イギリスが再びシンガポールの統治を始めました。
1957年にシンガポールはイギリスの自治州となり、翌年には自治政府の首相として人民行動党のリー・クアンユーが当選しました。
1963年、シンガポールはイギリスから独立し、マレーシアへ併合されました。
華人の多いシンガポールに対し、マレーシアにはマレー人が多く、マレー人優遇政策が取られました。したがって、シンガポールでは不満が募っていきました。
そういうわけで、マレーシアのラーマン首相は、シンガポールをマレーシアから追放することを決め、1965年にリー・クアンユーがシンガポール独立宣言をしました。
独立後のシンガポールは経済成長を遂げていきます。外貨獲得のため、政府が開発した大規模工業団地に外国資本の工場を誘致し、労働力を育成しました。
そこでリー・クアンユー政権は、外国資本の誘致に不利にならないよう労働資金のコントロールを国家が行うという、シンガポール独自のシステムを確立して国家手動型の開発を進めました。
シンガポールの産業・経済
シンガポールの地理的位置は、経済発展において重要な役割を果たしています。
シンガポールは東南アジアの中心に位置し、重要な海上貿易ルートであるマラッカ海峡に面しています。この一帯は、シンガポールを世界有数の貿易港とし、国際物流のハブとしての地位を確立させました。
シンガポールは資源の乏しい国により、外国企業を積極的に誘致することで、国内産業の育成を実践してきました。
シンガポールには非常に優秀な政府関連企業が存在します。それらはGLC（Government Linked Company）と呼ばれており、シンガポール空港やシンガポールテレコムなどがその名を連ねています。
人口も限られているシンガポールでは、国内の教育制度も、その徹底した実力主義とエリート教育で知られています。
政府はとくに、ＳＴＥＭ（科学、技術、工学、数学）教育への重点投資を行っています。
シンガポールの教育で勝ち抜いた高度人材が、先述したGLC（政府系企業）のような優良企業に就任することで、さらなる経済の発展が促されます。
シンガポールはアジアの金融センターとも言えます。シンガポールに拠点を置く金融機関は、銀行、資産運用会社、保険会社を含めると、1200社以上とされています。
アジア有数の資金調達地点としても世界から注目されています。
シンガポール製造業生産高の約3分の1を占めるのが、エレクトロニクス産業です。2016年以降、車載用電子機器やスマートフォン向け部品などの外部需要が拡大し、地場輸出が急速に回復しました。
シンガポール政府は、2000年よりバイオテクノロジー産業を振興しており、その一環として医薬品や医療機器産業にも力を注いできました。
シンガポールの政治
シンガポールは独立後、経済はＡＳＥＡＮのトップを走り続け、「アジアの奇跡」と言われました。
シンガポールの国会は一院制が取られています。シンガポールは建国以来、特定の政党や政治権力を独占しており、「明るい独裁国家」と揶揄されることもあります。
シンガポールは1965年にマレーシアから独立しましたが、建国の父と呼ばれた初代首相、リー・クアンユーは「富の集中」と「繁栄の追求」を理念に掲げ、国内の積極的な開発を進めました。
執筆者：山本和華子
ツイッター（@wakako_kyoto）もやっています。よかったらフォローしてね♪
