四書五経(ししょごきょう)とは、儒教の思想を著した四書と五経のことです。四書には『大学』『中庸』『論語』『孟子』があり、五経には『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』があります。
儒教の経典のうち、『大学』『中庸』『論語』『孟子』を四書といい、『詩経』『書経』『周易』『春秋』『礼記』を五経といいます。
『書経』
『書経』は、堯舜(ぎょうしゅん)時代・夏・殷・周の時代の政治の心得などを書いたもので、周の時代に書かれました。
現在『書経』は、周代以後における中国の正統思想の源泉となっています。
周公旦(しゅうこうたん、周王朝の政治家)は孔子の、学問と実践における理想像でした。
周公旦は周の新王朝建設期、古代漢民族社会の一大革新期における、すぐれた指導者でした。
『易経』
『易経』とは、占筮(せんぜい)のやり方と占いの言葉を記したものです。
古代の中国では、占いは天文学・数学・哲学と共存していました。
古代の中国ではじめ最も主要とされた予言法は「亀卜(きぼく)」で、殷朝でよく使われていました。
「易」という字は、もともとトカゲを表していました。
トカゲは色の変易する虫であることにより、「変わる」という観念がその字に反映されました。
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『礼記』
『礼記』とは、礼について書かれたものです。
畏敬の礼・・・畏敬もしくは尊敬の、情意表出が定式化したものです。対象は神や霊魂である場合と、王や族長など人間である場合があります。
和平の礼・・・互いに敵対する者が、休戦したり平和の約束を結んだりした場合に行われます。
服飾、器具、調度品、音楽、歌唱、舞踏、供物などが「礼」を表した物品または行為として重要視されるようになり、「礼」は美術や芸術の発展を促しました。
古代中国においては、天子の行う祭天の礼と、天子をはじめ貴族の家における宗廟の礼の2種類が最も重視されました。
孔子は、国政の根本は礼であるとし、また天や宗廟の祭礼を政治の根本としました。
礼に基づく政治のことを「礼楽政治」といいます。
『詩経』
『詩経』とは、周代初期から孔子が生きた時代までの詩を集めたものです。
周の時代では、社会全体が合理主義・倫理主義に傾いたことで、『詩経』の中には、よく世界各国に残っているような神話や叙事詩というものは一つもありません。
『詩経』の学習は、人の心をやわらげ、情愛を深めさせる効果があると孔子は説きました。
『春秋』
『春秋』は、春秋時代の魯の国の歴史書で、宮廷年代記の表題でした。
春秋のもともとの意味は春夏秋冬の略で、時間を経過を表し、転じて年代記を示す書名となりました。
孔子はこの魯国年代記の一部を抜き出して添削を施し、歴史教科書として作り変えたのが『春秋』です。
紀元前730年~480年頃までの約250年間を「春秋時代」と呼ぶのは、この期間が、『春秋』の対象に扱われている時期だったからです。
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『論語』と『孟子』
『論語』は孔子とその弟子との問答を集めたもので、『孟子』は、孔子の思想を継承し、孟子(もうし)またはその弟子が書いたものです。
孟子は孔子の没後100年ほどのちに生まれましたが、この100年間で時代の様相はかなり異なっていました。
孔子の時代は、まだ周王朝のパワーは少し残っていて、孔子は周王朝の権威を回復したいと考えていました。
孟子の時代は、周に代わる新王による天下の統一が期待されていました。よって孟子は、独自の王道政治の構想を示しました。
孟子の哲学は、天に基づいて性善説を立てています。
人は天の所生であるから、必然にその性質は善、という考え方です。
ちなみに荀子(じゅんし)という人物は、性悪説を説きました。
人間の本性は悪だから、これを善くしていくには儀礼音楽を基調とする教育が不可欠であるとしました。
『大学』と『中庸』
『大学』は『礼記』42篇のことで、その内容は政治思想の要諦です。
『中庸』は『礼記』31篇のことで、 その内容は中庸の徳です。
執筆者:山本和華子
【参考文献はコチラ】
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