インド
インドには、神話伝説(神話・哲学・宗教)が豊かに残されています。
しかし、インドには系統立った歴史書はほとんどありません。
インドの人々は古来より、現実世界よりも、神々の世界や死後の世界に興味を抱いて来ました。
インドの神話は、バラモン教(ヴェーダ)の神話と、ヒンドゥー教の神話に大きく分かれます。
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●バラモン教の神話
インド最古の宗教文献を「リグ・ヴェーダ」と言い、紀元前1200年頃に成立します。
これは、神々への賛歌を集めたものです。
祭式の説明書である「ブラーフマナ」には、洪水神話が記されています。
メソポタミア、インド、ギリシャの洪水神話は、すべて起源が同じだと考えられています。
メソポタミアの洪水神話が「旧約聖書」に影響を与え、「ノアの箱舟」となりました。
●ヒンドゥー教の神話
紀元前6~4世紀頃に、ヴェーダを絶対の聖典とするバラモン教が、土着の民間信仰などを吸収して大きく変貌を遂げた宗教がヒンドゥー教です。
ヒンドゥー教には、「マヌ法典」「マハーバーラタ」「ラーマーヤナ」など、膨大な量の聖典があります。
ヒンドゥー教ではヴィシュヌ、シヴァ、ブラフマーの3神が主神となり、インドラをはじめとしたヴェーダの神々の地位は相対的に低くなりました。
後代になると、最高原理ブラフマーが世界を創造し、ヴィシュヌが世界を維持し、シヴァが世界を破壊するという、三神一体説が唱えられるようになりました。
メソポタミア
紀元前3000年、シュメール人が神話を残しました。
紀元前2000年代から、アッカド語を話すセム族が、メソポタミア南部にバビロニアを、北部にアッシリアを築きました。
バビロニアに伝わる神話に、「エヌマ=エリシュ」があります。この神話は、バビロニアの創世神話です。
「イナンナの冥界降り」とは、イナンナという豊穣の女神が、死者の世界にくだっていくという神話です。
イナンナは、後にアッカド語で「イシュタル」と呼ばれるようになります。
この物語は、植物の神の「死と再生」のサイクルの神話です。
メソポタミアでは、「ギルガメシュ叙事詩」も編纂されました。
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北欧
北欧のゲルマン人の神話の特徴は、「神々と世界の終末」がはっきりと書かれていることです。
北欧神話の代表的なものに、「古エッダ」「スノリのエッダ」があります。
「古エッダ」は10世紀末に編纂されました。
「スノリのエッダ」は13世紀にスノリ・ストルソンという人物によって記されました。
北欧神話の世界観の中心には、1本の巨木(ユグドラシル)があります。
世界そのものであるユグドラシルは、常に危機的な状況にあります。
これは、北欧の神話世界において、世界が常に危機にさらされているという思考の表れだと考えられています。
そして世界は、やがて終わりを迎えます(ラグナロク)。
最終戦争ラグナロクでは、バルドルが死に、そしてよみがえって世界の支配者となります。
これは、破壊と再生を繰り返す円環的な世界観のもとに語られていることを示唆していると考えられています。
マヤ神話
マヤ神話では、あらゆるものに神を見出す汎神的な世界観を持っています。
自然のエレメント(元素)、太陽や月などの天体、嵐や雨などの気候、トウモロコシなど、さまざまなものに固有の神々がおり、マヤ文明圏におけるそれらの重要性が示されています。
「ポポル・ヴフ」は、現在まで伝わるマヤ神話の数少ない貴重な文献となっています。
「ポポル・ヴフ」では、始まりの神であるテペウとククルカンの2柱の神が、人間の創造を果たす創世神話が収められています。
ククルカンは、マヤ文明において重要な神で、「羽毛を持つ蛇」の姿をした至高神です。
チチェン・イツァのピラミッド「エル・カスティーヨ」には、春分・秋分の日にククルカンの影が現れることで知られています。
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執筆者:山本和華子
参考文献:沖田瑞穂著『世界の神話』


