世界中にファンを持つ、世界最高峰のチェリスト、ヨーヨー・マさん。
愛くるしい笑顔、穏やかで謙虚な姿勢、みんなが虜になっちゃう。
ちなみに彼は、大学では人類学を専攻していたそうです。
今日はヨーヨー・マさんの『ベスト・コレクション』を聴いていこうと思います。
フレデリック・ロウ作曲 踊り明かそう
映画「マイ・フェア・レディ」の挿入歌、「踊り明かそう」です。
「マイ・フェア・レディ」は、ロンドンの花売り娘が、一流の淑女に成長していく姿を、オードリー・ヘプバーンが演じたミュージカル映画です。
「踊り明かそう」は、主人公イライザがなぜか突然「きれいな発音」で話せることに目覚め、大興奮しているシーンで歌われます。
原曲を聴きましたが、映画の中では彼女の華やかでキラキラした歌声ですが、
ヨーヨー・マさんの曲では、序盤は少し落ち着いた伸びやかな、丁寧なメロディーです。
後半は曲調が変化し、ピアノ伴奏も相まって、ヨーヨー・マさんのチェロの音色もまるで「踊って」いるかのような弾む心を表現していて、面白いです。
聴いていて驚くのは、チェロの音域の広さ。後半で、非常に高音が奏でられるシーンがあるのですが、
改めてチェロの表現の広さに驚きました。

タン・ドゥン作曲「グリーン・デスティニー」の「愛のテーマ」
この「グリーン・デスティニー」っていう映画、すごい。めちゃくちゃすごい。
観たことがなかったので今回調べてみたのですが、原題が「臥虎蔵龍」で、
英語のタイトルが「Crouching Tiger, Hidden Dragon」ですよ、すごくない?
ニュアンスとしては「眠れる獅子」ですよ、今にも何かが起こりそうやん!!!
日本語のタイトルだけ何も語れてなくない???w
さて。
この曲を最初聴いたとき、胡弓の音色かと思いました。
たしかにチェロと胡弓は同じ弦楽器ではありますが、
あの音色はきっと、ヨーヨー・マさんにしか奏でられないんだろうな、と思いました。
漆黒で幽谷の、深い森の湿度を感じる音色。
この曲を作曲したタン・ドゥン氏がまたすごい人!!!
彼は中国湖南省の村の、文化大革命の時代に生まれ育ち、
田植え労働者として働かされていたそうです。
あの時代に生きてもなお、音楽の道を諦めなかった。素晴らしいと思います。

コダーイ作曲 無伴奏チェロ・ソナタ 第1楽章
コダーイ・ゾルターンは、19世紀~20世紀に生きた、ハンガリーの作曲家・民族音楽学者・哲学者です。
初めて聴いたとき、ものすっごい激しい重低音で、とてもインパクトのある曲だと思いました。
この曲にはハンガリーの民族音楽のニュアンスも取り入れられているそうです。
私にはそれがよくわかりませんでした汗汗汗
私のイメージしているハンガリー(というか東欧)の民族音楽ってもっとなんかチャカチャカしてて、
速弾きでジプシーの演奏のイメージだったので、ちょっと違うのかしらー?と思いました。
マーク・オコーナー作曲「アパラチア・ワルツ」
このCDに収録されている曲は、ヨーヨー・マさんのソロ演奏ですが、
もともとは、
ヴァイオリニスト兼作曲家のマーク・オコーナー、
ベーシストのエドガー・メイヤー、
チェリストのヨーヨー・マさんの3人で演奏されていたそうで、
グラミー賞を受賞するほど人気を博したのだそうです。
この曲も初めて聴いたのですが、北欧?スイスの高原のイメージ、
平和で冷涼な山脈のイメージを彷彿とさせるような曲で、個人的に好きな音楽でした。
タイトルの「アパラチア・ワルツ」の「アパラチア」とは、
アメリカ東部の地域を指す言葉で、
20世紀より以前は、アパラチアの人々は地理的に他の地域から孤立していて、
彼らの祖先(イングランド人やスコットランド人など)の文化が残っていたのだそうです。
そういうわけで、この曲はそのアメリカ伝統音楽をベースに作曲されたのだそうです。
イングランドはわからないけれど、スコットランドと言われれば少し納得。
なんか、冷涼なイメージを彷彿とさせるメロディー。バグパイプっぽさも感じますね。
なんか、音楽を楽しむことは、人を知り、世界を知ることに繋がっていくんだなと思いました。
ヨーヨー・マさんのインタビューの言葉
ユーチューブには、ヨーヨー・マさんのインタビュー映像が投稿されていて、
かなり前に一度見たことがあったのを思い出して、
今回改めて見返しました。
インタビューの内容を、少しまとめました。
「音楽、言語、歴史など、文化の全ては我々が創造してきた。
文化とは、記憶と創造の産物である。
価値あるものを生み出したとき、人はそれを記憶して、とっておきたいと思う。
今、自分が社会にどう貢献できるかについて考える。
世界の様々な問題は、一人で解決できるものではない。
音楽は、人を引き寄せ繋げる力を持っている。
人々が集まり、こうした課題に取り組むそのきっかけをつくるのが、音楽だと思う。」
執筆者:山本和華子
