日本の刑事事件における法制度の特異性と問題点、そして改善点について

はいみなさんこんにちは。

前回では、日本の検察のしくみについて解説しました。

今回は、日本の刑事事件における法制度の特異性と問題点、そして改善点に焦点を当てて、記事を書いていきたいと思います。

目次

日本では、被疑者の取り調べの際に、弁護人が同席したり、第三者からの客観的なチェックが入ったりするようなしくみはないのか?

日本では、被疑者の取り調べ(捜査段階)に弁護人が立ち会う制度は基本的にありません。

第三者による客観的な監視もほとんど存在していません。

これは、先進国の中でもかなり特異な構造と言えます。

日本の刑事手続きは、被疑者の取り調べは、警察・検察が密室で行い、弁護人が同席することは法律で認められていません。

日本は、取り調べの透明性が極めて低い国とされています。

【海外との比較】

アメリカ・・・原則として弁護士立ち会いが認められています。録音や録画は義務化されている州が多いです。

イギリス・・・PACE法により、弁護士の立ち会いが保障されています。全件の録音は義務とされています。

ドイツ・・・弁護人の立ち会いは可能で、取り調べ記録も厳格に管理されています。

日本が自白至上主義に陥ってしまう原因

日本では、取り調べは警察・検察が自白を最重視し、密室で作成された供述調書が、裁判において大きな証拠価値を持ちます。

このような構造により、日本の法制度は冤罪の温床となっていることが指摘されています。

被疑者を長期拘束させることで自白を得ることが目的化していることが実情です。

欧州や米国では客観的な物的証拠が中心ですが、日本では、警察や検察の主観による供述調書が重視されます。

このため、調書を取ることが事件を解決することだとみなされています。

日本制度の、権力を濫用できてしまうしくみ・構造について

人は、権力を持つと自己利益に向かいやすいという特性を持ちます。

これは世界共通で、人類共通、誰にでも起こり得る現象です。

しかし、日本の場合、権力組織を客観的にチェックしたり制御したりする仕組みがとても弱いため、

「日本制度では権力を私的に使いやすくなる」という構造が生まれてしまうそうです。

日本の司法制度で求められる改善案としての法曹一元制度について

裁判官、検察官、弁護士を総称して「法曹」と言います。

日本の裁判官の昇進システムは「キャリアシステム」と呼ばれ、ドイツやフランスなどの国で採用されている方式です。

これは、日本が明治時代にドイツやフランスの司法制度を手本として出発したことによります。

キャリアシステムに対し、ある程度の期間、法律職を経験した者の中から裁判官を任用するシステムを「法曹一元制度」といい、こちらはイギリス、アメリカ、オーストラリアなどの国で採用されています。

司法の最大の使命は、市民の人権救済です。

市民の人権は、国家権力によって侵害されてはなりません。

市民が行政や国家権力と相反する立場の刑事事件を担当する裁判官が、権力に遠慮するようなことは、あってはなりません。

そのためには、キャリアシステムの中で出世や昇進を目指すのではなく、

社会的評価の高い弁護士の中から裁判官を選ぶべきとするのが、法曹一元制度です。

法曹一元制度は日本国内において、1960年代から導入すべきとする意見が出ていました。

しかし、この制度の導入に最も反対したのが、最高裁判所でした。

日本では、裁判官の人事は最高裁判所が握っているためです。

調べてみて思ったこと

今回、刑事事件についてきちんと調べようと思ったきっかけが、「滋賀医大生による性暴力事件」でした。

また、現代の日本人は、「ただ稼ぎたい」「ただ不労所得マネタイズ自動マシーンを作りたい」そればっかり考えている人がものすごく多いなという印象があり、「みんな、拝金の奴隷に一斉に死に物狂いでなろうとするのも不思議だな」「なんか中身からっぽだな」と思い、「もっと社会って広いはずだし、そして私たち人間の生きざまも、もっと広くて豊かで深いはずだ」と思ったのも、法制度について調べるきっかけでした。法律の観点から、人間の本当の豊かさについて調べてみたいと思いました。

また、現代の日本は戦争もなく平和なはずなのに、なぜか国民は幸せを享受できていないのはなぜだろうか、と思ったのも、法制度を学ぶきっかけでした。

今回調べてみて思ったことは、プロテスタントが生まれた土壌のドイツにおける「官僚体質」と、儒教文化圏の土壌の日本における「官僚体質」は、かなり様相が異なるのではないか、ということでした。

執筆者:山本和華子

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