小泉文夫著『音楽の根源にあるもの』要約 「音」そのものを楽しみ、「音」と共に生きていくということ

●イランの物売りには詩情がある。どれだけ素晴らしい花園から採れた果物か、はたまた夢のように甘美な味わいか、と思わせる声をあげる。

「サワリ」とは、三味線や琵琶のような弦楽器で、弾いた弦が振動して棹の一部に触れる現象で、しびれるような雑音が発せられる。このサワリこそ、ユーラシア大陸に共通して見られる、東洋の音そのものである。

トルコ人は、中央アジアから来た民族であった。ペルシャ文化、アラビア文化、ギリシャ文化を身に着け、東西両様の顔を持つオスマン帝国では、すぐれた音楽文化を作り上げた。

●音楽や舞踊のように、直接的な身体表現と結びつくリズム感は、その特定の人々の生活基盤である労働の形式と密接な関連を持っている。

水田農耕を営む日本人や、東南アジア諸民族の舞踊の身体的重心は、常に安定した腰におかれ、「静」の要素が見られる。

●歌や踊りが単に個人的表現であるばかりでなく、共同体的コミュニケーションの場であった郷土的社会では、こうした人間関係が、リズム的表現に決定的である。

乾燥地帯に住む人は、動物を生活の糧とすることが多い。動物の育成は、常に仔を産み、ミルクをとり、世話をしなければならない。仕事のテンポの基礎になる単位は、農耕民より短い単位で速い。

ヨーロッパの牧畜地帯には、足をふみ鳴らす踊りが多く、喜怒哀楽の表現が激しい。アラビアの砂漠に住む人たちの歌には、細かく速い手拍子や、自由リズムが特徴としてある。

●土佐の「木遣り」は、労働と祭りが結びついたところに存在する。日常性から一歩離れたところに、祭りや祈願といった、もう一歩進んだところで、より感動的な表現へと歌は発展していった。

もっと詳しく知りたい方は、ぜひ本書を手に取って読んでみてください。

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