【文化人類学】狩猟採集民の経済のあり方、平等と分配の価値観について

文化人類学とは、社会を形作るための技術、経済、人間関係、政治、宗教などがいかに関係しあいながら社会全体が統合しているのかを分析する学問です。

カラハリ砂漠には、「サン」と呼ばれる狩猟採集民が暮らしています。

彼らは遊動生活を送りながら、野生の動植物の狩猟採集活動によって生計を立ててきました。

動物の肉のような重要な食料が得られた場合は、

お互いに顔見知りで親族関係にある居住集団(キャンプ)のメンバーに、

できるだけ平等に配られていました。

この共同と分配に基づく平等主義的な規範は、一日平均に換算すると4~5時間という少ない労働時間で、

キャンプのすべてのメンバーが十分な栄養を得ることを可能にしていました。

要するに、私たちが普段暮らしている、一日8時間労働で「所有と蓄積」を中心とする資本主義経済社会圏とは別の価値観、生活文化が、そこにはあるわけです。

所有・蓄積することによって、各々が自由に豊かになる生活文化(そこには格差社会も含まれる)」と、

平等・分配を価値とすることによって、集団が豊かであり続ける生活文化」とは、

別の経済システムが働いているということになります。

後者には、「循環」の価値観も含まれるかと思います。

また、サンの子どもは、長い年月を自然のなかでの遊びに費やすことで、

狩猟採集に必要な知識や技術を身に着けていました。

こうした社会においては、何を学ぶかやどんな仕事をするかという問いは、

青年期に短時間で決断を迫られるものではなく、長い時間をかけて自分で徐々に答えを形作っていきます。

それを考えると、一般に「先進国」と呼ばれる国々では、

10代で進路が決まったり、何を学ぶかが決定される仕組みであることが「当たり前」であることって、

結構しんどい側面もあるよなぁと思いますね。

執筆者:山本和華子

参考文献 松村圭一郎、中川理、石井美保(共著)『文化人類学の思考法』

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