前回、日本の、海外へのバラマキ外交について見てきました。
また、日本の価値観外交についても解説しました。
今日は、日本の外交の特徴と、強みと弱みについて斬り込んでいきます。
そもそも外交とは?
外交とは、外国の国々と交渉し、貿易協定などを結ぶことで自国の利益を確保することです。
元々私は日本文化について興味があり、色々調べていくうちに、
はて自分の国の強さはどのように築かれているのだろうか?
という疑問を抱くようになり、興味もあるので調べていくと、「外交」に辿り着きました。
ちなみに日本文化などを海外観光客にアピールすることで、
日本の魅力を海外のみなさんに知ってもらうことを、
「パブリック・ディプロマシー(広報文化外交)」と言います。
この日本におけるパブリック・ディプロマシーには、マンガやアニメも含まれます。
国際社会における外交の概要
現代の国際社会では、気候変動や感染症、核軍縮やテロなどの国際組織犯罪といった地球規模課題への対処は、
極めて重要な課題として認識されています。
「グローバル・サウス」とも呼ばれる途上国・新興国は、これらの課題に対して存在感を強めています(インドが「グローバル・サウスの声サミット」を主催するなど)。
「人間の尊厳」に焦点が当たる
各国は世界を協調社会へと導いていくために、人間の命・尊厳が最も重要であるとの意志を示しています。
女性の保護や救済に取り組みつつ、女性自身が紛争の予防や平和構築に参画することで、
より持続可能な国際社会を目指すことができるという考え方が重視されています。
これを特に、「女性・平和・安全保障(WPS)」と言います。
日本の外交の概要
そのような国際社会の流れの中で、日本は国民の平和と安全、そして繁栄を確保していく必要があります。
そして、自由・民主主義・人権・法の支配といった価値や原則に基づく国際秩序を維持、強化していきます。
ちなみに法の支配(rule of law)とは、権力に対して法の優越を確保する考え方です。
法によって権力が制限されます。
国際社会では、日本は同盟国との連携が不可欠です。
とくに日米同盟は日本の外交・安全保障の基軸です。
また、魅力ある日本文化や科学技術などのソフトパワーを積極的に活用していくことも重要です。
2025年に開催される予定の日本国際博覧会(大阪・関西万博)は、
日本の魅力や経済力を国際社会に示す重要な機会だとみなされています。
日本の外交の特徴
日本とアメリカは、日米同盟を基本に協調することを前提としますが、
アメリカでは軍事安全保障を重視するのに対して、
日本では経済を含めた「法の支配」などの包括的な秩序形成を想定しています。
その包括的な秩序形成の最たる例が、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」です。
またアメリカは中国に対して関与を放棄していますが、
日本と中国の間では、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や関税の引き下げをおこなうなど、
一定の歩み寄りを見せています。
ただし、日本と中国の間が完全に平和というわけではなく、
東シナ海での中国の海警の活動は一層活発であり、
軍事安全保障面での緊張は依然として続いています。
日本の外交の強み
1、官僚組織の存在
日本の外交の強みは、なんといっても強固で安定した官僚組織の存在です。
他国の交渉実務はほとんど全て官僚組織が担っています。
一方で、その官僚組織の強みは表裏一体といいましょうか、
フレキシブルさが欠けるという弱みも内包しています。
2、FDIへの期待
もう一つの日本の外交の強みは、日本企業が海外から期待されていることです。
途上国の政府や経済閣僚から日本の経済界に対しては特に、民間企業のFDIが期待されています。
FDI(Foreign Direct Investment、海外直接投資)とは、ある国の企業が、
他国の企業に対して資本を投入し、その企業の経営に直接関与する形で行われる投資のことです。
日本の企業が途上国の企業に資本を投入しながら、
技術向上サポートや経営アドバイスも同時にしていく、というようなイメージです。
3、経団連からの継続的な支援
さらに、経団連(日本経済団体連合会)からの継続な支援も、日本の外交の強さとして考えられています。
経団連によって実施されている、日本の主要企業が組織的に政府の外交方針に全面協力する制度は、
他国では見られません。
アメリカでは、全米商業会議所が政府に対して批判的なコメントを発表することがありますが、
日本の経団連会長コメントは、常に政府を支持する内容となっています。
それは強みなのでしょうか・・・?一長一短というか、政府と経団連の癒着にも繋がりそうだと
私は考えてしまいますが・・・しかしそれでも今のところは強みとなるのでしょう。
日本の外交の弱み
1、司令塔の不在
日本の外交の弱みとして、司令塔の不在が挙げられます。
縦割り行政の弊害がそのまま外交へ影響を及ぼしてしまい、交渉の権限が拡散されてしまっています。
2、恒常的な省庁間の対立
恒常的な省庁間の対立の典型例として、農林水産省と経済産業省の対立が挙げられます。
例えば、ドーハ・ラウンドのようなマルチ交渉のケースでは、攻めと守りの分野間の
戦略的連携が不可欠であるはずなのに、対立してしまいました。
ドーハ・ラウンドとは、2001年にカタールのドーハで行われた、
WTO(世界貿易機関)が主催した多角的貿易交渉のことです。
ドーハ・ラウンドの交渉は膠着状態で、2025年現在も未完了となっています。
ちなみに2013年にインドネシアのバリ島で開催されたバリ合意では、
ドーハ・ラウンドの一部を切り出して合意に辿り着きました。
いかがでしたでしょうか。
私たちが何気なく送っている日常は、日本の外交の努力により成り立っています。
今後もこのような平和な日常が送れるためにも、私たち一人ひとりが
外交について知っていくことは重要であると私は考えています。
執筆者:山本和華子
参考文献
外務省 国際情勢と日本外交の展望(2024年)
世界経済評論IMPACT 日本の経済外交の強みと弱みは何か
投資用語集 ドーハ・ラウンド
nippon.com 多様な顔を持ち始めた日本外交
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