今日は、チェリストである佐藤晴真さんの作品『The Senses ~ブラームス作品集~』の感想を書いていこうと思います。
チェロ・ソナタ 第1番 第1楽章
重厚で荘厳な音色から始まります。
艶やかでいて、そして力強さも感じられます。
低音から高音に駆け上がっていくときのほとばしる激しさには、佐藤さんの息遣いが感じられます。
その後、海底にいるようなしっとりとした響きが続きます。
ずうっとチェロの音色を聴いていると、途中、佐藤さんの息を吸う音も聞こえることも相まって、
チェロの音色なのか、いや、はたまた佐藤さんの歌声なんじゃないかと思えてくるような演奏です。
また同じリズムを繰り返すシーンがあるので、トランス状態にも似た陶酔の美しさすらあります。
チェロ・ソナタ 第1番 第2楽章
序盤は、軽やかで細やかな動きをします。
朗らかだけど、どこかしらミステリアスなメロディライン。
中盤、曲調が変わり、滑らかにピアノとチェロが同じ動きをして、優雅な印象を与えます。
チェロ・ソナタ 第1番 第3楽章
強くリズミカルに連なるアクセント、そして重厚かつ華やかなシンコペーションが心地よく響きます。
中盤は宮廷の雅なアフタヌーンティーのような情景に移ります。
この楽章では、色々な奏法が豊かに奏でられるのですが、その情景がまさに、
宇宙のすべてを反響しているかのような、色とりどりの色彩が感じられます。
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チェロ・ソナタ 第2番 第1楽章
CDでは、この曲がはじめに収録されています。
百花繚乱の技術が放たれる、華やかな楽章です。
テヌートで同音が動く下で、別の音が動くシーンの巧妙さを感じます。
終盤は、まるで画家であるドラクロワの色彩の陰と陽のコントラストのような圧巻の音色に呑まれていきます。
チェロ・ソナタ 第2番 第2楽章
ピチカートから始まる穏やかさが心地よいです。
しっとり豊かな幸福感にたっぷり包まれますが、奏で方はあくまでも静謐です。
そのピチカートのメロディがピアノのメロディへと渡されていく描写が、非常に美しいです。
最後に、第3楽章と第4楽章は、ぜひご自身の言葉で感想を語ってください。
執筆者:山本和華子
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