昨今、私たちのお給料がなかなか増えないことが問題視されています。
私たちの頑張りが足りないから? いえ、そんなことはありません。
その理由はいくつかありますが、その一つに、「日本企業が内部留保を溜め込んでいる」ことが挙げられます。
今日はその内部留保について、斬り込んでいきましょう!
内部留保とは?
内部留保とは、企業が生み出した利益のうち、社内に蓄えられる部分をいいます。
なぜ企業がお金を社内に溜め込むのかというと、設備投資や新規事業など、新しい取り組みをおこないたいときに活用できるようにするためです。
また、バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災などの事態に備えるためという側面もあります。
不況の時期においても、従業員の雇用を維持し、事業を継続するための資金を確保することが、企業存続のための安全策として不可欠なのです。
現在の内部留保の実情
2016年度末、企業の内部留保が初めて400兆円を突破しました。
円安傾向の定着により輸出企業を中心に利益が上がっていることが、内部留保が増えた理由として挙げられます。
しかし、その利益が従業員のお給料の再分配として機能はあまりしておらず、
2015年度の労働分配率は67.5%と落ち込んでいます。
実際の経営者の声
企業が内部留保をする理由として、よくこんな声が挙げられるそうです。
「企業の価値を向上を目指すため」
「今後、企業買収するときのため」
しかし、そのどちらも、大量に内部留保する確実な理由にはなりません。
経営者の本音は、「経営が多少失敗しても安心だから」なのです。
また、従業員の賃上げが進まない背景には、
「賃上げに伴って社会保険の会社負担が大きくなってしまう」という事情もあるのです。
内部留保を溜め込むリスクとデメリット
内部留保の収益率は0%です。
他によい投資機会が存在するにも関わらず、大量に内部留保をしてしまうことで、
そこで得られたであろう収益を得ることが出来ない、機会損失となってしまうことにもなります。
また、内部留保を溜め込むというのは、従業員にお金がお給料として再分配されないということに繋がります。
これでは従業員は生活費で毎日カツカツ状態、自己投資にお給料を回す余力がなく、
従業員の戦力のレベルが上がらず、自転車操業のような状態が続いてしまうのです。
これからの展望
これからの展望として、
1、社会保険の増大において、政府が何らかの対策を実行する
2、従業員のお給料として再分配をはかることで、従業員の戦力をパワーアップしていく
以上が考えられるかと思います。
それではまた!
執筆者:山本和華子