国宝の書道作品にはどんなものがあるのか ~圜悟克勤、密庵咸傑、虚堂智愚、了庵清欲~ ~日本文化紹介シリーズ~

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圜悟克勤(えんごこくぐん) 印可状(流れ圜悟) 国宝

印可とは、僧侶が、弟子が悟りを得たことを証明認可することです。

圜悟克勤とは、中国の宋代の禅僧です。幼少にして出家し、はじめは経論(きょうろん、仏典の三蔵の内の経蔵と論蔵のこと)を学んでいましたが、あきたらず、惟勝(いしょう)というお坊さんに参禅し、修行しました。

この印可状は、北宋時代(12世紀)のもので、圜悟克勤の弟子であった虎丘紹隆(くきゅうじょうりゅう)に与えた印可状です。

この墨蹟(禅僧の筆による書道作品のこと)が桐の筒に入ったまま薩摩(現・鹿児島県)の坊ノ津海岸に漂着したという言い伝えから、「流れ圜悟(ながれえんご)」の名で呼ばれるようになりました。

密庵咸傑(みったんかんけつ) 法語 国宝

密庵咸傑は、中国・南宋の禅僧です。霊隠寺などの諸大寺に住し、晩年、四明天竜山に隠退しました。

この法語(仏の教えを説いた語句・文章)は、南宋時代(12世紀)に70歳を超えた密庵が、

人に頼まれて絹本(けんぽん、絹の布地に書かれた作品)に書いたものです。

京都の寺院、龍光院には「密庵」という茶室があり、この墨蹟を飾るためだけの密庵床が存在しています。

虚堂智愚(きどうちぐ) 法語(破れ虚堂) 国宝

虚堂智愚は、中国・南宋の禅僧です。天寧寺の運庵普厳の座下において大悟し、その法門を継ぎました。

彼の墨跡の中でよく知られた作品が、この破れ虚堂です。

江戸時代の1637年、使用人のひとりが何らかのうらみ事があって蔵に閉じこもり、中のものを壊してしまいました。そのなかに虚堂智愚の墨跡があり、破れが生じたため、「破れ虚堂」の名前がつきました。

了庵清欲(りょうあんせいよく) 進道語(しんどうご) 国宝

了庵清欲は、中国・元代の禅僧です。

彼の墨跡は趙 孟頫(ちょうもうふ)という書家の書法を受け継ぎ、端正な書風を特色とします。

進道語とは、師から弟子に、禅の大事な部分を説いて修行の助けとしたものです。

この進道語は、日本の禅僧、的蔵主(てきぞうす)に与えられたもので、了庵清欲が54歳のときの筆跡です。

執筆者:山本和華子

【参考文献】

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