古今和歌集の枕詞・序詞・掛詞・縁語・見立ての解説と、漢詩の影響について ~日本文化紹介シリーズ~

はいみなさんこんにちは。

今日は、古今和歌集について解説していきます。

古今和歌集とは、平安初期に、醍醐天皇の勅命によって集められた、勅撰和歌集です。

編集にあたったのは、紀貫之、紀友則、凡河内躬恒、壬生忠岑です。

古典和歌は、共通する美意識や表現・発想の「型」に基づいて詠まれています。

また、古典和歌は、特有のレトリックが使われていることも特徴として挙げられます。

枕詞(まくらことば)と序詞(じょことば)は「万葉集」の時代から盛行していました。

掛詞(かけことば)と縁語(えんご)は、「古今和歌集」において発達したものです。

また「古今和歌集」には、見立てというレトリックもあります。

目次

枕詞

枕詞とは、五音節以下で、実質的な意味を持たず、常に特定の語を修飾することばです。

あしひきの→山

ちはやぶる→神

ひさかたの→天・月・光

たらちねの→母

枕詞とは、畏怖すべきもの、驚異的なもの、崇高なものなど、人智を超えた存在に言い及ぶ際に、その予兆として用いられる言葉であると言えます。

序詞

序詞とは、ある言葉を導き出すために用いられる七音節以上の語句のことです。

多くの場合、序詞の中では「物象」が提示され、それを契機として「心情表現」が導き出されます。

吉野川岩波高く行く水のはやくぞ人を思ひ初めてし   紀貫之

現代訳 吉野川の岩の間を波高く流れていく水が速いように、ずいぶん早くから、あなたのことを思いはじめていたのですよ。

吉野川の急流のイメージは、恋心の激しさという風に文脈が転換してもなお、序詞の残像は、読む者の心に働きかけてきます。

掛詞

掛詞とは、同音異義を利用して、1つの言葉に複数の語を重ねる技法です。

らころもつつなれにしましあればるばるきぬるをしぞ思ふ    在原業平

現代訳 いつも身に着けている唐衣のように、慣れ親しんだ妻を都に残してきたので、はるばるとやってきた旅が、いっそう感慨深く思われるよ。

「か・き・つ・は・た」の五文字が各句の頭に置かれていますね。

この歌は、旅先の、在原業平の目の前にある美しいかきつばたを詠みつつ、都の妻を懐かしんでいるのです。

縁語

縁語とは、一首の歌の中の複数の言葉が、文脈上のつながりとは別に、何らかの連想関係によって結びついていることです。

からころも きつつなれ(萎れ・馴れ)にし つま(褄・妻)しあれば はるばる(張る・遥々)き(着・来)ぬる たびをしぞおもふ

「唐衣・萎れ・褄・張る・着ぬる」という、唐衣に縁のある語群がちりばめられています。

このような技法を縁語といいます。

見立て

朝ぼらけ有明の月と見るまでに吉野の里に降れる白雪    坂上是則

現代訳 夜が白むころ、有明の月かと見間違うまでに、この吉野の里に降り積もっている白雪よ。

目前の雪が、有明の月に例えられています。

このような技法を、「見立て」といいます。

ここで私は思いました。

「この技法って、日本特有のものじゃないよな・・・?中国の唐代、李白という詩人が、詩の中で月の光を地上の霜と見立てていたよな・・・?」

と思って参考文献を読み進めていったら、案の定、見立てはもともと、漢詩から学び取られた技法だったと書いてありました。

やっぱり・・・!

執筆者:山本和華子

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