中村天風著『運命を拓く』の要約

【著者、中村天風の経歴】

明治9年、東京に生まれる

日露戦争のとき、満州で活躍

帰国後、肺結核を発病したことから人生を深く考え、真理を求めて欧米を遍歴

その帰路、ヒマラヤの麓でヨガの聖者カリアッパ師の指導を受け、病を克服

帰国後、「心身統一法」として、真に生きがいのある人生を生きるための実践哲学についての講演活動を始める

真理瞑想行(しんりめいそうぎょう)とは、人生に対する自覚と反省をうながし、現在ある命をよりよく有意義に活かすのに必要な基礎的考えを、正確につくりあげることを目的としている。

中国では「霊気」と呼ぶもの、とくに宋代の儒教哲学で「先天の一気」と呼ぶもののエネルギーが、宇宙を創り出した。

宇宙の本体が生み出したものは、森羅万象である。

一切の森羅万象は、宇宙本体のエネルギーの分派によって創られている。

人間は、万物の中で、この宇宙本体の分量を最も多く頂戴している。

「気」というものは動かなければならない。その動いた「気」によって、物が創られるようになっている。


人間は、日ごろ、心の運用を良くしたり、悪くしたりすることによって、人間の人生は良くもなり、悪くもなる。

我々の生命の中にある肉体・精神生命は、心の運用のいかんによって決定することができるのである。

つまり、人間の心で行う思考は、人生の一切を創るのである。

心の思考作用と、宇宙を司る宇宙本体の創造作用(物を生み出す力)は、本質的に一つのものである。

心というものは、万物を生み出す宇宙本体の有する無限の力を、自分の生命の中へ受け入れるパイプの役割を果たしている。

怠らず注意深く、自分の心の中の考え方を積極的にすることに努力しよう。


「元気」という気が出たときに、人間と宇宙霊とが完全に結びついたことになる。

元気ハツラツたる状態で生きることこそ最も必要かつ大事なのである。


中村天風がインドで修行中、病に臥せっていて弱っていたときに先生が、

「お前は、世界一の幸せ者だなぁ」と言ったそうだ。

そこで天風は、「私は世界一不幸だと思っています。今まで何も大して悪いこともしないのに、こんな病に取りつかれて苦しんでいるんですから」と返事した。

すると先生はこう言った。「苦しい病に虐げられながらも死なずに生きているじゃないか。その生きているという荘厳な事実を、なぜ本当に幸せだと思わないのだ。苦しいと思えるのも、生きていればこそではないか。それを幸せと思わないのか。お前はバチあたりだ」と。

人間、蒔いた種の通りに花が咲く。

実在意識が直接行った動作は、そのいかなることも問わず、それを数多く繰り返していると、いつかその動作が、今度は潜在意識の支配で行われるようになる。

潜在意識こそは、肉体の建設者で、また広い意味においての人生の建設者である。

日頃から心を打ちこんでいると、潜在意識がそれを受け入れて、必要なときに実在意識によい合図を与えてくれる。そして正しい自覚や悟りを促してくれる。



人間が日々使っている言葉ほど、実在意識の態度を決定し、強烈な感化力を持つものはない。

言葉は人生を左右する力がある。

積極的の言葉を使う習慣を作ることが大切である。


私たち人間の中には、創造主の無限の属性が宿っている。

であるから、宇宙霊の心と同様の状態にして生きることが大切である。

宇宙霊の心は絶対に積極である。

感謝と喜びで人生を考えるように習慣づけよう。


本書では、毎朝となえるべき誦句(しょうく)がいくつも書かれています。

気になった方はぜひ本書を手にとって、毎朝、誦句を唱えることをオススメします。

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