世界の憲法はどんな内容なの? それぞれの国の歴史・政治的背景も交えながら解説

目次

イギリス

イギリスに、憲法典は存在しません(不文憲法)。

イギリスの憲法は、中世以来の個々の法律・判例・慣行などの総体として存在します。

イギリスの憲法は、中世以来の王権が、

その権力を徐々に議会に譲ってきた歴史(マグナ・カルタなど)の中で育まれてきました。

また、理念的な制度を構築するというよりは、

実践の積み重ねが徐々に制度化されるという形で発展してきました。

アメリカ

世界の現行憲法典の中で最古のものは、1788年成立のアメリカ合衆国憲法です。

アメリカでは何度も憲法改正が行われています。

著名なものとしては、奴隷制の廃止、禁酒法とその廃止、女性の参政権獲得などがあります。

アメリカでは、裁判所の違憲審査(司法審査)が大きな役割を果たしてきました。

著名な判決として、

女性の妊娠中絶権を認めた判決(1973年)、

公立校での白人と黒人の別学を違憲とした判決(1954年)などがあります。

フランス

現在(2026年8月時点)のフランスの政治体制は、第5共和政です。

最初の憲法である1791年憲法から、現行の1958年憲法に至るまで、制定された憲法の数は15を超えます。

フランスで提唱された人権宣言は、人権、国民主権、権力分立といった、

近代西洋の憲法思想の基本理念を定め、世界各国に影響を与えました。

現行のフランス憲法の前文には、「人は、自由かつ権利において平等なものとして生まれ、

かつ生存する」(人権宣言第1条)と書かれ、1789年のフランス人権宣言の尊重がうたわれています。

メキシコ

メキシコは、19世紀初めにスペインからの独立、19世紀半ばの保守派と自由主義派の内戦、

20世紀初めにメキシコ革命が起こる、という歴史を歩んできました。

現行のメキシコ合衆国憲法は、アメリカ合衆国憲法を規範しつつ、革命の理念を具体化したものです。

メキシコ革命後、20世紀には制度的革命党が長期政権を維持しました。

ブラジル

ブラジルでは、19世紀初めのポルトガルからの独立後、憲法が8回制定されました。

ブラジル連邦共和国憲法は、96回改正されています。

現行のブラジル連邦共和国憲法(1988年)は、軍政からの転換を進め、

従来の大統領制は維持しつつ、その権限を縮小し、議会の権限を強化しました。

ドイツ

第二次世界大戦後に、東西に分断された西ドイツで、

現行のドイツ連邦共和国基本法(1949年)が制定されました。

東西統一後も、それは実質的な憲法となっています。

国が保障する基本権条項を冒頭に置き、第1条で人間の尊厳の不可侵を掲げています。

ドイツ連邦共和国基本法は62回改正されています。

イタリア

フランスの影響を受けて制定されたサルデーニャ王国憲法(1848年)が、1861年のイタリア統一に伴い、

イタリア王国憲法となりました。

そして、第二次世界大戦後に、王政から共和政へ転換し、

現行のイタリア共和国憲法(1947年)が制定されました。

イタリア共和国憲法には、キリスト教(カトリック教会)と、社会主義の影響が見られることが特徴です。

ロシア

1991年のソビエト連邦崩壊後、ロシアで、現行のロシア連邦憲法(1993年)が制定されました。

この憲法は近代西洋の憲法思想を導入し、詳細な人権条項を有しますが、

大統領が憲法と人権の保証人とされている点に、大きな特徴があります。

大統領は政府の首相を任命する一方で、自らも大統領府や安全保障会議を組織し、

広範な行政機能を担います。

中国

1949年、共産党は内戦に勝利し、中華人民共和国を成立させました。

そして、それまでの中華民国は、国民党とともに台湾に渡りました。

中華人民共和国憲法は4回制定されています。

現行の1982年憲法では、社会主義体制を変更できないものとし、

体制選択に至った歴史的経緯が憲法の前文に記載され、正統性の根拠としています。

インド

インドでは、独立から今日まで、ほぼ一貫して議会制民主主義が行われています。

多言語・多民族国家であり、連邦制を採用しています。

議会は州・首都地域などを代表する上院と、国民を代表する下院からなります。

下院では、特定のカースト・部族のために一定数の議席が割り当てられています。

執筆者:山本和華子

参考文献 国立国会図書館 調査と情報 井田敦彦著「G20 各国の憲法概観」

【本を出版しました】

世界は、こんなにも豊かで、面白い。
本書『はじめて学ぶ世界地図』は、世界各国の魅力を一冊に凝縮した、オールカラーの入門書です。

歴史、政治、主要産業といった基礎知識から、世界遺産、伝統料理、工芸品まで、多角的な視点で丁寧に解説しています。

さらに、豊富な写真やイラストをふんだんに掲載。
文字だけでは掴みきれない文化の空気感や、人々の暮らしの彩りを、視覚的にも楽しめる構成になっています。

「世界のことを知りたいけれど、何から始めればいいかわからない」
「旅行気分で、気軽に異文化に触れてみたい」
そんな方にこそ手に取っていただきたい一冊です。

ページをめくるたびに、新しい国との出会いがある。
この本が、あなたと世界をつなぐ最初の一歩になりますように。

【Youtubeはじめました】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次