はいみなさんこんにちは。
今日は、世界の民族衣装の歴史と文化について、ご紹介していきたいと思います。
毛織物と大航海時代
まずは、民族衣装の素材や染色技術は、世界経済の歴史と密接に繋がっているというお話から参りたいと思います。
ヒツジの家畜化は、南西アジアで11000年前ごろから始まりました。
メソポタミアあたりにいたヒツジを、フェニキア人が染色技術と共にエジプトなど地中海一円に広め、やがてそれはイベリア半島(スペインやポルトガル)に持ち込まれます。
そして14世紀ごろ、良質なウールによる毛織物産業がイベリア半島で発達し、スペインは大航海時代という黄金の時代を迎えることに繋がったのです。
植物性素材の衣装
人々は、衣装をつくる素材を栽培する文化以前の素材として、木本(もくほん)の植物性素材の樹皮を叩き、柔らかくした樹皮布が用いられていました。
野生の草本(そうほん)や木本樹皮の内皮繊維は、織機を使って「織る」という技術が起こってからの利用となりました。
最も早く衣装をつくる素材の栽培化が始まった植物の一つとして、亜麻が知られています。
亜麻はカフカス地方から中東にかけてが原産地で、紀元前7000年ごろには栽培されていたと考えられています。
亜麻から取り出された繊維による織物は、エジプト、バビロニア、フェニキアなど、古代文化において広く用いられていました。
インド更紗とカシミア・ショール
古代中国の織物技法は、先進的でした。とくに繊細な絹糸で織り出される製品は、東西の交流に大きな役割を果たしてきました。
中国の絹や文様を織り出す高度な技術は、陸路のシルクロードを通って西域やローマに運ばれて行きました。
また、それとほぼ同時期に、中国を起点に、ベトナム、インド、イランなどのアジア各国をつなぐ海のシルクロードも発達していました。
インド以西で使用されてきた青色染料の原料は、主にインド原産のマメ科の藍植物です。
インドにおいて、この藍植物の利用は紀元前2000年から始まっていました。
また「印度藍」は、紀元前1世紀には地中海沿岸諸国へ輸出されていました。
ムツバアカネと印度藍をベースにした文様染めである「インド更紗」の起源は、紀元前2000年だと言われています。
陸路のシルクロードの各地から、インド更紗が出土しているそうです。
また、紀元前後のエジプトに、インドの染織技術が伝わっていたと考えられています。
インド貴族たちの象徴として愛用されてきたカシミア・ショールの、色鮮やかな文様織布がイギリスにもたらされると、大流行したそうです。
当時のイギリスには重くて分厚い羊毛布しかありませんでしたので、カシミア・ショールの軽くて薄く、柔らかい風合いと華やかな色彩に、イギリスの人々は魅了されたのです。
そしてインド産のカシミア・ウールをイギリスで製織し、これをスコットランドのペイズリーという地で刺繍加工する文化が育まれました。
執筆者:山本和華子
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