東アジアの西部は高山気候や乾燥気候であるのに対し、東部は季節風の影響を受けた温帯モンスーン気候です。
モンスーンとは、季節によって風の吹く方角が変化するものを言います。夏は海洋から吹き込むモンスーンの影響で、高温多雨になります。
チベット高原やヒマラヤ山脈は気温が低く、降水量も少ないです。
東アジアは共通文字としての漢字や、仏教・儒教による精神的基盤などの文化を共有しています。
建築・世界遺産
中華世界の北部の建築物の壁は、開口部が少なく平屋が多いです。
南部の建築物は木造部材を露出させ、壁は漆喰仕上げが多いです。また開口部は大きく、2階屋が多いです。
北部は焼成煉瓦、日干煉瓦、版築（はんちく、土を用いて強く突き固める方法）が多いです。
南部は木造が多く、懸造（かけづくり）や高床式住居も見られます。
中華世界を代表する住居形式は、四合院（三合院）という中庭式住居です。
客家（はっか、漢民族の一支流）の住居は、円形、四角形の多層の土楼による共同住居です。
泉州（世界遺産）・・・泉州は、宋代と元代における海上貿易の中心地として発展しました。
泉州はアラビア諸国では「ザイトゥーン」として知られ、10～14世紀の西欧の文献にも登場します。
美術・音楽
祝祭
●春節（中国） 1～2月
春節は中国の旧暦正月です。新年に縁起が良いとされる草花を飾るのが中国の習慣です。
春節の際の花市には、富がもたらされるという富青竹、実を黄金に見立てた金柑、恋愛運がよくなるという桃の花などが並びます。
●チンゲイパレード（シンガポール） 1～2月
世界中から集まるダンサーや山車が繰り広げるアジア最大級のパレードです。
チンゲイ（粧芸）とは福建系の人々の造語で、「衣装と仮装の芸術」を意味します。
料理
●ヨントーフ（中国、客家）
客家は古代、中国の中原から南へと移住していった漢民族の一支流です。
客家の流転する生活から、漬物や乾物など保存食が発達した特徴があります。
●トゥクパ（チベット）
トゥクパは、うどんに似た、ハレの日の料理です。
トゥクパはネパールでも食べられています。
民族舞踊
●クチャ舞（中国、新彊ウイグル）
新彊ウイグルのクチャ地区は豊かな文化をもち、肥沃な土地でした。
この地はシルクロードにあったため、中国やヨーロッパとの交流が行われていました。
現在、クチャに伝えられている舞踊は、イスラーム文化を背景にしたアラブ、イランなどの音楽の影響を受けています。
民族衣装
中国の民族衣装は、大きく「漢服」と「胡服」に分かれます。
漢服は、現在も中国の人口の9割を占める漢民族の伝統的な衣装です。
胡服は、北方の騎馬民族が着用していた衣服のことです。
胡服の中でも代表的ななものは、満州族が着用したチーパオです。
現在のチャイナドレスは、チーパオに洋服の製法を取り入れてできたものです。
●清（18世紀）時代のロンパオ（中国）
龍の文様を施した、皇帝が着用する儀礼服です。
皇帝の力や徳を表す十二章（12種類の文様）が施されています。
●ハラート（モンゴル）
足と腕の動きを妨げない、乗馬に適した特徴があります。
執筆者：山本和華子
【参考文献】
井田仁康著『読むだけで世界地図が頭に入る本』
布野修司著『アジア都市建築史』
マイナビ出版『くわしく学ぶ世界遺産300』
学研プラス『世界の祝祭』
文化学園服飾博物館『世界の民族衣装図鑑』
青木ゆり子著『世界の郷土料理事典』
