ドビュッシーの作品、「2つのアラベスク」と「牧神の午後への前奏曲」の特徴と魅力の解説

クロード・ドビュッシーは、19世紀にフランスで活躍した作曲家です。

ドビュッシーの音楽は、印象派音楽、ないしは象徴派音楽と呼ばれます。

ドビュッシー以前のクラシック音楽界は、伝統だった音階進行と機能和声の上で作品が作られていましたが、ドビュッシーは自由で独創的な音楽を表現しました。

またドビュッシーの音楽は、後世にもジャズやポップスミュージックなど、幅広いジャンルに影響を与えています。

元々「印象派」という言葉は、アートの分野において生まれた概念でした。

モネやルノワールなどの画家たちの作品の一種の流れを指す言葉を、次第に音楽業界の作品にも揶揄として用いられるようになりました。

例えばモネの睡蓮の作品は、曖昧で捉えどころが無いのが特徴です。

印象派アート以前のアート作品は、写実的で輪郭線がくっきりと強いものが主流でしたが、印象派の絵は輪郭を曖昧にしています。

ドビュッシーは、その印象派の表現方法を、音楽で再現しようとした先駆者でした。

印象派以前のクラシック界はロマン派と呼ばれる時代で、主観的かつ物語性の強い表現が主流でした。

そのロマン派の表現を、ドビュッシーは次々に取り払っていきました。

具体的には、長調であるか短調であるかといった分類をなくし、ソナタ形式のような輪郭線をなくし、和音進行のルールをなくしていきました。

そういうわけでドビュッシーの作品は、和音が斬新で、メロディーラインは伸び伸びと煌めいています。

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2つのアラベスク

2つのアラベスクは、ドビュッシーの初期のピアノ作品です。

映画監督である岩井俊二の作品「リリィ・シュシュのすべて」という映画に引用されているのですが、私が中学生のときにこの映画を観て、ドビュッシーのこの作品を初めて聴いて感銘を受けたのを覚えています。

アラベスク第1番のポリリズム(異なる複数のリズムを同時進行させる手法)の部分、この曲でいうとポロロロンと高音から低音に流れていくところですね。その部分は、川の流れを表しているそうです。

ちなみにアラベスクとは、イスラム美術で用いられる、幾何学模様を反復することにより作られたモチーフのことです。イスラム教においては偶像崇拝を禁止しているため、無限に広がるパターンが好まれます。

第1番は、爽やかで華やかで、全体として非常に美しい雰囲気に包まれています。

第2番は、軽やかな音色が躍動的に繰り返されます。

牧神の午後への前奏曲

「牧神の午後への前奏曲」は、象徴派を代表する詩人マラルメの詩に基づく作品です。

牧神とは、意識と無意識が混在した存在でもあり、それらの境界線上に起こる情緒がこの詩のテーマです。

牧神のさまざまな欲望と夢が、午後の熱気のなかを動き回ります。

それから妖精たちがおずおずと逃げるのを追いますが途中で諦め、牧神はついに、自然界をすべて手中に収めるという夢に満たされて酔い心地のまどろみに身を任せます。

この作品の特徴としては、長調・短調の支配から解き放たれた旋法を用いていること、

繊細・透明で豊かな色彩感を放っていることです。

ちなみにこの曲は、振付師のニジンスキーの手によって、後にバレエとしても上演されています。

執筆者:山本和華子


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